花粉やハウスダスト、PM2.5(微小粒子状物質)など空気に対する関心は、コロナ禍を経てますます高まっている。こうした状況のなか、世界約80カ国で販売され、日本では2020年の発売以来、好調に売上を伸ばしているのが「Airdog(エアドッグ)」だ。ウイルスの6分の1の大きさの物質まで集塵する性能があり、学校や病院などでの導入が増えているという。空気清浄機の必要性とAirdogの機能について、日本で唯一の正規代理店である株式会社トゥーコネクト 取締役 Airdogブランド担当の吉川純代さんに聞いた。

空気中には目に見えない微小な汚れやウイルスが長時間漂う

――空気が汚れている、換気されていない状態だと、どのような問題があるのでしょうか。

【吉川】一定時間換気されていない空気中には、くしゃみなどで飛び散る飛沫ひまつや非常に細かいマイクロ飛沫が長時間漂い続けます。特にエアコンなどを使う室内空間では、それが風に乗って空間全体へと広がってしまいます。窓を開けて換気できればウイルス対策としては有効ですが、一方向だけの窓開けでは、部屋の奥の空気は循環されません。2方向以上の窓を開けないと室内の空気は入れ替わらないのです。寒い季節は長時間窓を開けるのは難しいですし、部屋の構造上、窓がない、窓が1つしかない、2つ以上あっても開けられないなど、効果的な換気が望めないケースもあります。

また、窓を開けると屋外の花粉や排ガス等のPM2.5が部屋に入り込むことも多く、窓を開けることを躊躇する人も多いです。このほかにも室内には、エアコンに付着したカビ、ベッドメイクなど日常生活で舞い上がるホコリやダニの死骸などのハウスダストも多く飛んでいます。

吉川 純代(よしかわ・すみよ)
株式会社トゥーコネクト 取締役 Airdogブランド担当
広告代理店にて部長として全国地上波テレビ局、BS局、CS局との取引に従事。のち、2018年に株式会社メルコホールディングスにダイレクトマーケティング事業の立ち上げメンバーとして入社し、グループ傘下の株式会社トゥーコネクトに所属。2021年6月より取締役に就任。

電磁場を生成し、汚れを磁石のように吸着するシステム

――Airdogの空気清浄のしくみは、一般的な空気清浄機とどう違うのですか。

【吉川】日本で使用されている空気清浄機の多くは、濾過式の紙フィルターを使用するタイプです。このタイプは目の細かいフィルターで汚れを除去するので、汚れによってフィルターが目詰まりを起こすことがあり、空気清浄能力が低下してしまいます。新品のフィルターに交換すれば空気清浄能力は戻りますが、常に高い清浄能力を維持しようとすると定期的な買い替えが必要で追加コストがかかります。

Airdogの空気清浄のしくみは、これとは根本的に異なります。Airdogにはアメリカ・シリコンバレーで開発された特許技術を用いた「TPAフィルター」を搭載しています。このTPAフィルターは電磁場を生成し、帯電させた汚れを磁石のように吸着して空気中の汚れを除去します。ですから、濾過式の紙フィルターのような目詰まりが起きない構造です。集塵性能はウイルスの6分の1の大きさ、0.0146μmの汚れまで吸着が可能で、空気清浄能力の低下がほとんどありません。また、フィルターは繰り返し洗って使用できるので買い替えコストは不要です。

TPAフィルターのイメージ図。下から1層目の「プレフィルター」では大きなホコリや髪の毛を取り除く。下から2層目の「イオン化ワイヤーフレーム」に電磁場を作り、汚染物質にプラスイオンを帯電させ、3層目の「集塵フィルター」で帯電された汚染物質を吸着する。最後に4層目の「オゾン除去フィルター」で空気排出口から出るオゾン濃度を0.01ppmまで取り除く。活性炭フィルターであるため消臭効果も発揮。

――空気がきれいになったかどうかは、どのように判断するのですか。

【吉川】空気の汚れの程度を示すAQI(空気質指数)が、数値と色でディスプレイに表示されます。数値が150以上は最も空気が汚れていて赤色、50以下は空気が清浄されていて緑色の表示です。数字と色で空気の状態を「見える化」したのです。

室内にいる人が増えたり、調理で臭いが発生したりすると数値が上がりますが、ほどなく下がっていくのを見て、清浄効果を実感される方が多いですね。

フラッグシップモデルのX5Dでは、30分で65m2のきれいな空気を供給することができます。また、室内の二酸化炭素濃度を測定するCO2センサーも搭載しています。

――メンテナンスは難しくないかが気になります。

【吉川】メンテナンスについては、多くのお客様から簡単だと評価をいただいています。AirdogのTPAフィルターは目詰まりを起こさないタワープレート構造になっています。4層のフィルターのうち汚れを吸着する「集塵フィルター」は水洗いができ、その他のフィルターも専用のお手入れグッズ等で簡単にメンテナンスができます。もしお手入れを忘れても、お手入れ時期がきたらディスプレイにマークを点灯してお知らせします。

「働く環境を空気から変える」と企業の導入が拡大

――導入されている事例を教えてください。使用者はどのようなメリットを感じているのでしょうか。

【吉川】現在、全国の1万カ所以上の医療施設にAirdogが導入されています。また、幼稚園や大学などの教育施設をはじめ、多数の人をお迎えする旅館やレストラン、お寺、動物の臭いが気になるペットショップ、お客様とスタッフの距離が近い美容室など、さまざまな業種でもご利用いただいています。音が静かなのも特徴で、仕事や勉強中、また病院などの静かな空間でも音が気にならないと評価いただきました。

撮影協力=成田記念病院

公的医療施設によるAirdog導入アンケートでは、施設内換気について懸念を持っていた施設が導入後、9割以上で「改善された・改善された気がする」と実感を持たれているようです。

空気をきれいにするだけでなく、「働く環境を空気から変える」という取り組みにAirdogを活用いただく企業も増えています。

例えば、歯科技工所や工場など粉塵等が多く舞い上がる場所では、もともと空気の汚れ除去に気を配って対策をされています。従来の方法では不十分と考える企業の管理者の方が、従業員の皆様のさらなる働く環境の改善のため導入を決定されています。従業員の皆様が休憩される場所に設置するケースも多いようです。お手入れのために集塵フィルターを外した従業員の方が、付着した汚れを見て「今までこんなに汚れた空気を吸っていたのか!」と衝撃を受けたというお話も聞きます。

――他社製品と比べて価格が高い印象ですが、その理由は?

【吉川】Airdogだけに搭載されたTPAフィルターは集塵性能が落ちにくく、またフィルターの買い替えが不要のためランニングコストは低くなります。濾過式の紙フィルターのような目詰まりが起きない構造で、水洗いすることで初期の性能に戻るので、空気清浄能力の低下がほとんどありません。長期的に見ると決して高くはないと自負しています。

医療施設の口コミから全国に広まったAirdog

――3年間で一気に日本中に広がったように見えます。日本ではどのように販売が拡大したのですか。

【吉川】2020年3月の発売当初、私たちはご家庭での利用を想定していました。ところが、最初に注目してくださったのは医療施設の方々で、そこから口コミで全国に広がりました。患者さんとスタッフの方々に向けたウイルス感染対策として60台導入された病院もあります。ウイルスの6分の1の大きさの汚れまで集塵し、それが可視化できることで納得される方は多いですね。さらに、2022年にFDA(アメリカ食品医薬品局)の認証を受けたことで、より信頼が高まったと思います。

海外でも数多くの導入実績があります。例えば、ドイツの小学校では、6000教室以上で導入中です。空気清浄能力だけでなく、運転音の静かさ、またCO2センサー内臓という基準を満たしているのはAirdogのみということで選ばれています。

「Airdog=空気の番犬」という商品名の通り、皆様の暮らしに寄り添い、「空気」のエキスパートとして、空気のコンディションや環境改善に取り組むブランドでありたいと考えています。