急速に進む国内のキャッシュレス化。積極的な取り組みを展開するビザ・ワールドワイド・ジャパンのスティーブン・カーピン社長は「シンプルで利便性に優れ、強固なセキュリティーに守られた当社の決済ソリューションは、あらゆる商取引の原動力になると確信している」と展望する。
スティーブン・カーピン
ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社
代表取締役社長
オーストラリア・コモンウェルス銀行、ウェストパック銀行、コムセックなどを経て、2014年にVisa入社。オーストラリア・ニュージーランド・南太平洋地域、東南アジア地域のグループカントリーマネジャーを務め、2019年4月より現職。サイバーソース株式会社代表取締役を兼任。

──日本におけるキャッシュレス化の現状についてお聞かせください。

【カーピン】海外と比較してなぜ普及が遅れているのか? と質問されることは少なくありません。習慣の違いなどさまざまな背景があるのだと思いますが、サービスやテクノロジーの多様化が決済を複雑化させてしまったことが要因の一つでしょう。シンプルで、コンビニエンスストアやスーパー、レストランあるいはオンラインショッピングといったどのシーンでも一貫した利便性があり、かつ高度なセキュリティーで安全性を担保してくれる。日本の消費者が求めるものも、諸外国となんら変わりません。ただニーズを満たす環境が整備されていなかっただけです。

そこで当社が、カード発行会社・金融機関やVisaの加盟店と共に推進してきた決済ソリューションの例が「Visaのタッチ決済」です。店員にカードを手渡すことなく、対応の端末にかざすだけで非接触で決済が完了します。当社の調査(※)によると、決済に要する平均時間は現金が約16秒、「Visaのタッチ決済」なら約8秒と極めてスピーディー。消費者の快適性は向上し、加盟店は節約した時間をより良いサービスのために使うことができます。日々、何十億もの取引が発生することを考えると、マクロ経済的にも影響があり、また、消費者や加盟店にとっては現金よりもはるかに優れた決済体験であることをお分かりいただけるでしょう。

「Visaのタッチ決済」の国内における取引件数は、2020年から今年にかけて約5倍に増加。(2021年6月時点)

この一年間でタッチ決済に対応した端末数は倍増。カードの発行枚数は5000万枚を突破しました。タッチ決済が利用可能な加盟店の急拡大、さらにはApple Payへの対応により、「Visaのタッチ決済」はまさに成長の転換期にあると言えます。

──高まる期待にどう応えますか。

【カーピン】決済エコシステムにかかわるすべての人に、最高の決済体験を提供するだけでなく、消費者が決済に使用する資金へ最良のアクセスを提供することが重要だと考えています。それが、支払い時に銀行口座からすぐに引き落とされる「Visaデビット」です。メガバンクから地銀まで35の銀行・発行会社が「Visaデビット」を発行。金融機関に足を運ぶことなく、「対面決済やオンラインショッピングにおいて、自分の口座へ日常的にアクセスする手段」として広く認知されつつあります。

そして、コロナ禍もあって著しい成長を見せているのがeコマースの分野です。オンライン上でもVisaのクレジットカード、デビットカードの利便性はそのままに、強力な暗号化テクノロジーである「Visaトークンサービス」を採用することで、あらゆる環境で安全・安心な決済が可能になります。

「Visaトークンサービス」は、16桁のカードの番号や有効期限などをトークンと呼ばれるデジタル識別子に変換することで、買い物をする際に実際のカード番号を使わずに決済を行う技術。カード番号を悪用されることはありませんし、カードや決済に使用していた携帯電話の紛失時には、短期間で再発行できるという利点もあります。

世界最大規模の決済ネットワークとして、日本はもちろん世界のどこであろうとも、誰にとっても、等しく価値ある決済体験をお届けしていきたいと思っています。

※M-Theory,2016(Visa委託調査):秒数は原則金額確定からレシート受渡までの時間、一部サインあり取引を含む。