コロナ禍で大きく変わった生活様式。なかでも仕事の仕方の変化は、私たちの住まいや暮らし方を見直すきっかけになっている。テレワークが続くなか、これからの家づくりには「仕事場」としての視点が不可欠になってきた。

内閣府が昨年6月に公表した調査(※)によれば、コロナ下においてテレワークを経験した就業者は全国で34.6%だった。しかし、東京圏に絞れば48.9%で、23区内では55.5%と半数以上に上る。いわゆる「新たな日常」で、テレワークが定着する家庭は少なくないだろう。これからの家づくりには「仕事場」としての視点を取り入れていく必要がある。

住まいのどこで働くか家事や育児と併せて考える

住まいにワークスペースを設ける場合、まず位置と面積、そしてほかの部屋とのつながりが課題になる。完全個室か、リビングの一角にオープンなデスクを設ければ十分なのか、あるいは半個室を工夫するか。仕事の内容と、ライフステージに応じて考えたい。

例えば、家庭内でも仕事とプライベートを完全に分けたいなら、家族の居場所から離れた所に、防音性能の高い個室を設けたほうがいいだろう。だが、子供が小さい場合などは、リビングが見える位置にセミオープンのコーナーをつくるほうが、結果的に安心して仕事に集中できる。間仕切りは必ずしも壁ではなく、開閉可能なパーテーションを工夫したり、カーテンやブラインドを使う方法もある。間取りを検討する際には、家族の出入りや家事との両立など、動線のシミュレーションが欠かせない。

仕事がしやすい環境とは? 通信・防音・照明・収納

テレワークは、1人で集中して取り組む作業と、リモート会議や電話によるコミュニケーションに大別できるだろう。いずれも、快適な通信環境・静かな音環境を整えたいが、特に後者のコミュニケーションの頻度が高い場合は、防音性が重要になる。内装材や室内ドアには、吸音性や遮音性を備えた商品が出ており、求める防音性能に応じた選択を設計者と相談しよう。

また、仕事に集中するには、オフィスと同じように青みがかった「昼光色」の照明がおすすめ。リラックスできる電球色と切り替えられるものもある。

書類や資料、文房具などの収納場所も検討課題だ。機密度の高い書類を扱う場合は、ドアや収納場所にカギがかかるようにしておく必要もあるだろう。

運動不足やストレス解消 光熱費対策も検討

在宅勤務では、上手にオンとオフが切り替えられるようにしたい。外出する機会が減ると運動不足を招きやすい。家の中でちょっとした体操ができる程度のスペースは確保しておきたいところ。気候のいい時期にはウッドデッキなど半戸外でワーケーション気分を味わうのもいいだろう。

また、在宅時間が延びると光熱費が増えるという問題も指摘されている。日中は日光で電気を賄う太陽光発電システムも、テレワーク時代に向く設備といえるかもしれない。

※内閣府「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」令和2年6月21日