変動を収益につなげようと個人投資家が増加

脅威であるかに見える新しい事態にこそ、隠された機会が存在する──。

マネジメントの父と呼ばれるピーター・ドラッカーの言葉だ。これはそのまま、資産運用や投資の世界にも当てはめることができるだろう。物事が変化、転換するときには、これまでにないチャンスも生まれやすい。実際、コロナ禍による市場の変動を収益につなげようと、昨今、個人投資家が急増している状況だ。ニューノーマルと呼ばれる時代に対応すべく、自助努力への意識が高まっていることが見て取れる。

一方、安定性を求める人たちからあらためて注目されているのが不動産投資や賃貸経営である。コロナ禍においては外国人を主なターゲットとする物件など影響を受けたところもあるが、全体で見れば家賃相場の変動はそれほど大きくないといっていいだろう。調査によれば、例えば東京23区内のマンションの平均家賃指数の動きは下図のとおり。相応の変動はあるが、乱高下は起こっていない。社会情勢が激変しても、賃貸住宅などへのニーズそのものがなくなることはないからだ。

アットホーム調べ。

資産運用を取り巻く環境は整備されている

賃貸経営の魅力の一つは、自らのアイデアや工夫で収益性や物件の価値を高められる点だ。金融商品の場合、自身がその価格に直接影響を与えることは難しい。しかし賃貸経営においては、物件のデザインや設備、また運営方法を自分で決めることができるのである。

不動産の専門家には、「いまや賃貸経営はサービス業」と言う人が多い。ターゲットを絞り、ニーズを見極め、周囲と差別化を図っていく──。そうした努力によって、顧客、つまり入居者を獲得していくわけだ。他方で賃貸市場には、代々土地や物件を引き継いできた昔ながらの大家さんや単に不労所得を目的に不動産投資に取り組んでいる人も少なくない。そのなかで、しっかりと“経営戦略”を立て、実行できれば、成功の可能性は高まるはずだ。

不動産の分野に限らず、現在はさまざまな資産運用に取り組みやすい時代といっていい。かつてと比べて、それをきめ細かくサポートするサービスが充実しているからだ。多くの人が将来への不安を抱いているに違いない。しかし、“行動”しなければそれを解消することは難しい。冒頭のドラッカーの言葉を思い出し、前に踏み出すことが重要だ。