このたびのコロナ禍で在宅勤務によるテレワークは大きく拡大。「オフィスは不要では」との声も聞かれる。ただ一方で、在宅勤務には課題もあり、オフィスの役割はいまや重要な経営テーマの一つだ。
「オフィスか、自宅か。そうした二元論で考える必要はありません。オフィス、自宅、また外出先やシェアオフィス──。これからは、働く場の組み合わせ方が生産性や競争力をいっそう左右する。私たちはそう考えています」と野村不動産都市開発事業本部ビルディング事業一部の宮地伸史郎課長は言う。ここで同社が掲げるキーワードが「オフィスポートフォリオ」である。
「企業に求められるオフィスのあり方は、規模や業種、成長ステージごとに異なります。例えばベンチャー企業の成長局面では、増加するスタッフの働く場をどう確保するかが主なテーマになるでしょう。時々の状況に応じて、オフィスの分散化や拡張、移転などを通してそのあり方を再編成し、社員の働く場所と時間を最適化できれば、業務効率は上がり、社員満足度も大きく向上します」
働く場の選択肢を用意することができれば、働き方の多様化、効率化も進めやすい。野村不動産が展開する法人向けサテライト型シェアオフィス「H1T(エイチワンティー)」は、まさにそれを実現する手段だ。
「在宅勤務の課題を解決し、あらゆる規模・形態のオフィス機能を補完するサテライト型オフィスのニーズが高まる中、H1Tで仕事のしやすさと同時に重視したのが、『立地』と『コストパフォーマンス』です」
都心部を中心とした利便性の高い場所に24拠点、提携店を含めると42拠点を展開。企業側の導入しやすさを考慮し、初期費用は不要で「15分150円から」の従量課金制にするなど、業界有数のリーズナブルな価格を設定している。
また、デザインにもこだわった。
「自然素材を多く取り入れ、心地よい空間を実現。スペースも個室ブース席、オープン席、会議室などを用意しました。各種セキュリティ対策にも力を入れながら、ウェブで利用者の入退室管理を行えるなど、労務管理のしやすさにも気を配っています」
6月には法人向け郊外型シェアオフィス「SoloTime」を展開する東京電力ホールディングスと提携し、7月中に双方の会員が計35拠点を利用できるようにする。さらに、東武鉄道など提携先も広げている。
「インフラ企業として生活に貢献してきた東京電力さんの経験と、オフィスのあり方を考え続けてきた当社の経験を融合し、さらなる利便性の向上を目指したい。多彩で使いやすい働く場の選択肢を提供することで、オフィスポートフォリオの最適化を支えていきたい」と宮地氏は言う。
新規出店や提携で着実に多拠点化を進めるH1T。シェアオフィスの本格活用を考える企業にとっては、見逃せない存在といえそうだ。