現在、採用活動や人事戦略にまったく課題を抱えていないという企業は存在しないだろう。人材不足に伴う採用難に、育成や研修、定着率の向上と悩みは尽きないはずだ。その中で他社の一歩先を行くには何が必要か――。企業の戦略的な人事活動を後押しするビズリーチの古野了大氏が2019年11月28日にイイノホール(東京・千代田区)で開催された「PRESIDENT祭」にて講演した。
古野了大(ふるの・りょうだい)
株式会社ビズリーチ HRMOS採用事業部 事業部長
神戸大学工学部卒業後、大手教育関連企業にて、新規事業開発やデジタル領域の教育サービス開発に携わる。2015年にビズリーチ入社。即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」のサービス開発責任者等を経て、現在は「HRMOS(ハーモス)採用」の事業部長を務める。

イノベーションが企業の淘汰・再編を加速している

今、どのような人事戦略が求められているのか。そのお話をするにあたって、まずいくつか背景となる状況について整理したいと思います。一つ目は「企業の寿命」。これが現在短くなっています。1980年代、企業の平均寿命は30年といわれていましたが、報道によれば今はそれが約20年になっている。業歴の浅いサービス業を中心に短命化が進行しています。

ただ一方で、2017年に倒産した企業のうち2288社は「業歴30年以上の老舗企業」とのデータもあり、見逃せません。これは、時代の変化についていけず、過去の成功体験から抜け出せない企業が多いことを示しています。現在、私たちは第4次産業革命の中にあるといわれます。AIやIoT、ロボットを活用した自動化、自律化によって最適化を追求していく。そんな時代です。先端技術によって次々とイノベーションが生み出され、まさにそれが企業の淘汰、再編を加速しているわけです。

では、そうした中で生き残るには何が必要か。皆さんご存じのGEという会社は、もともと電気事業からスタートし、その後航空機エンジンや発電機器、エネルギー事業、さらには金融事業など幅広い分野を手掛け、事業を拡大。一転、20世紀の終盤には「選択と集中」で事業を再編し、新たなステージに登りました。つまり、常に時代のニーズに合ったビジネスモデルを模索し、展開してきた。ここに生き残りの秘訣があったわけです。

ビジネスモデルの変革にあたっては、マネジメント力や企画力、営業力など多様な要素が必要でしょう。しかしそれらは、突き詰めればいずれも「人」によってもたらされている。どんなに優れた仕組みや制度を導入しても、その活用をリードする人材、使いこなす人材がいなければ、効果は得られません。イノベーションによって企業が次々と淘汰される現在、“いかに優秀な人材を引きつけ、育て、定着させるか”。これこそが、競争を勝ち抜く鍵になっているのです。

採用力を強化する3つのポイントとは

しかしながら今の日本の採用市場をみれば、優秀な人材を引きつけることは簡単ではありません。すでに人口減少の時代に突入した日本において、労働力人口は2010年から2030年の間に700万人以上減ると予測されています。現在、日本は世界一採用が「難しい」国といわれ、当然優秀な人材ほど獲得競争が激化している状況があります。

そうした中で“競争に勝ち抜く鍵”を手に入れるにあたって、私たちビズリーチは3つのポイントがあると考えています。「選考スピードのアップ」「選考過程の可視化」「データ分析」の3つです。

転職を考えている人の中には、いつまでに転職するか、タイミングのリミットを決めている人が少なくありません。それに対して、1次面接から2次面接までの期間が大きく空いたり、選考結果を伝えるのが遅くなったりということがあると、当然他社に採用されてしまいます。応募者の側も複数の企業から、自分の希望や条件に合うところを選んでいる。その意味で、現在「選考スピードのアップ」は思っている以上に大事な要件といえます。

そして「選考過程の可視化」と「データ分析」。一般的なマーケティング活動では当たり前に行われていることが、実は採用活動ではほとんどの企業で行われていません。例えば、一口に採用活動といっても、ウェブで応募したり、人材データベースを活用したり、エージェントに依頼したり、また社員からの紹介など、さまざまなルートがあるでしょう。では、あなたの会社では、どのルートからどんな職種が高い割合で採用されているか。正確に把握できているでしょうか。これができていなければ、PDCAを回して採用活動を改善していくことはできません。

実際、私たちが「採用活動でどんな課題がありますか」と聞くと、「いい人が採れない」という漠然とした答えが返ってくることがよくあります。では、「あなたの会社にとって、いい人とはどんな人か」「そうした人を採るためにどんなルートがいいのか」と確認しても、選考過程が可視化されておらず、データもないため、なかなかお答えいただけません。

また、例えば「ある面接官が面接を行うと、候補者に辞退される確率が高い」。そうしたことも、きちんとデータを分析すれば把握することができます。「なんとなくあの人が面接すると、辞退されるな」ではいつまでも改善につながらない。状況を定量的にとらえることではじめて、面接官との目線合わせや面接のトレーニングが可能になるのです。

私たちビズリーチが提供している「HRMOS採用」は、まさに「選考スピードのアップ」「選考過程の可視化」「データ分析」の3つを実現する採用管理システムになっています。採用に関するあらゆるデータを一元管理することで、まず手間のかかる作業の工数を大きく削減できるのが特徴です。

実際に担当された方であればお分かりかと思いますが、採用業務というのは、応募があって、書類を受け付けて、面接の日程調整をして――。こうした初期段階だけでも、相当の時間を要します。応募者一人一人の情報をスプレッドシートで管理して、コピー&ペーストをしたり、削除をしたり。また、必要な情報をメールで面接官、また応募者に連絡したり。「HRMOS採用」では、そうした業務をすべて一つのシステム上で行うことができ、選考過程や評価内容を含め、すべてのデータは自動的に蓄積されます。さらに、蓄積したデータをグラフにして表示することも可能なため、各選考段階の予実分析なども容易に行えます。

「HRMOS採用」では、応募から選考、内定、入社までの予定と実績を簡単にグラフ化できるため、目標の達成状況をひと目で把握することが可能だ。

おかげさまで、ご利用企業の皆さまからは、「書類選考の時間などが短縮され、応募から内定までの期間が圧縮された」「辞退者の割合が減った」などの声を頂戴しています。また、センシティブな個人情報が含まれた応募者情報を安全に管理できる点、さらに、採用担当者や面接官などの関係者がその情報をセキュアなシステム上でやりとりできる点も評価をいただいています。

繰り返しになりますが、今、ビジネスモデルを変革できる優秀な人材を引きつけて、育て、定着させる力こそが、競争を勝ち抜く強みになります。それを手に入れるためには、オペレーション工数をできるだけ削減し、効率化によって生み出した時間を戦略的な活動に振り向けることが求められます。ビズリーチは「HRMOS採用」を通じてそれをサポートし、「人が活躍して、企業が輝く」、そんな社会づくりに貢献できればと考えています。

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