長期で収益を獲得する資産運用において、重要な視点は何か。フィデリティの投資哲学と戦略について、フィデリティ投信社長のデレック・ヤング氏に聞いた。
伝統のボトムアップ・リサーチと優れたマネージャーの投資戦略が支えになった

デレック・ヤング
フィデリティ投信兼フィデリティ証券社長
米連邦準備理事会(FRB)で金融アナリストを務め、96年にフィデリティ・インベスメンツ入社。フィデリティ・インスティテューショナル・アセット・マネジメント副会長などを経て現職。

徹底したリサーチが優位性につながる

──フィデリティが日本拠点を設けて半世紀が経過します。これまでの歩みをお聞かせください。

【ヤング】現在、フィデリティ・インターナショナルは、アジア太平洋、欧州、中近東、南アメリカなど25カ国・地域で資産運用サービスを展開しています。運用資産は33.6兆円(2019年9月末時点、1ドル=108.08円で計算)と、世界有数の資産運用会社として活動しています。1969年、外資系運用会社として初めて、海外拠点として東京に事務所を開設しました。以来、日本における経験や知識を元に、世界のさまざまな地域で幅広いサービスを提供し続けています。

──成長の背景には、どのような投資哲学があるのでしょうか。

【ヤング】私たちの優位性は詳細なファンダメンタル分析にあると自負しています。自社に独自のリサーチ・チームを有して、例えば株式であれば企業訪問によって経営者や役員らと対話し、その成長可能性を見極めます。徹底したボトムアップ・リサーチがあるからこそ、最適な投資機会を見極められるのです。創業者エドワード・C・ジョンソン2世が日本に着目し、東京オフィスを構えた際も、ボトムアップ・リサーチを持ち込み、成長の可能性のある企業へ投資をしてきました。フィデリティが投資してきた企業には、現在の日経平均株価を構成し、日本を代表する会社も多く含まれます。オランダやスイスなど世界中の投資家に日本企業への投資チャンスを広げてきました。

──日本の個人投資家にはどのような傾向がうかがえますか。

【ヤング】投資に懸念を持つ方は、日本市場での投資経験だけで先行きを考える傾向があるように思います。もしもこうした方が日本に投資したのと同じ期間、国際分散投資をしていたら違ったパフォーマンスが出ていたでしょう。本来、投資による収益獲得の機会は世界中にあり、ベストなポートフォリオとはそれらすべての享受を目指すもの。その事実をお伝えしていくのも私たちの役割であると思っています。また、分散投資はリスクにさらされる資産を管理し、投資全体のバランスを高めます。

──どのような国や資産クラスに注目していますか。

【ヤング】国際分散投資の観点から言えば、やはりアメリカ市場の資産はぜひ組み入れるべきだと考えます。アメリカ市場の動向は世界経済に大きな影響を与えます。また危機が起きた後の回復力に富んでいることも、歴史が証明しています。ご自身のポートフォリオにおいて、アメリカの資産をどう組み入れるかはポイントの一つと言えるでしょう。もちろんこのほかに中国の企業やヨーロッパの不動産にも可能性があると思いますし、日本についても私はポジティブな見方をしています。

金融危機の最中にアメリカ資産を買い増す

──ご自身もポートフォリオ・マネージャーとして、20年近く運用戦略を指揮してきました。アメリカを震源地とした2008年の金融危機をどう乗り越えたのでしょうか。

【ヤング】08年のアメリカ市場はかつてなく厳しい局面を迎えていました。すべての資産価格が下落し、株式も、ハイ・イールド債も、REITも、価格がさらに下がることも十分にあり得た状況です。この先の市場の回復は困難とみて投資資金を引き揚げるのか、リスクを取って買い増していくのか──。ポートフォリオ・マネージャーとして難しい選択を迫られました。そこで私が取ったのはアメリカ市場の回復を信じて資産を買い増すという選択です。

当時は流動性が枯渇していたため、買い付けも容易には進みませんでした。そんな有事にもポートフォリオ・マネージャーの裁量で柔軟に手を打てるのはフィデリティのユニークなところですね。また、金融危機が顕在化する前からリスクが高まっていると感じ、ポートフォリオ内で現金の割合を増やしていたことも奏功しました。結果的に、手持ち資金を活用し、その後の回復局面では新しい成長を取り込むことができました。

──当時は世界中の投資資金が安全資産へ回帰していました。そこでなぜ、リスクを取る選択ができたのでしょう。

【ヤング】理由は二つあります。まず私自身が90年代初頭にFRBに在籍していた経験があるため、中央銀行は必ず市場を支援すると確信していたのです。実際、その後に流動性供給が行われています。もう一つ、私が幸運だったのは、アメリカ市場に精通し、私が深い信頼を寄せているポートフォリオ・マネージャーたちが社内にいた点です。株式の運用担当者であるウィル・ダノフ、ハイ・イールド債のハーリー・ランク、REITのスティーブ・ビューラー。この3人がアメリカ市場をどう解釈しているかは、投資判断の重要な指針になります。

金融危機が起きた直後、彼らは企業の社長やCEO、またウォーレン・バフェットなどの著名な投資家やエグゼクティブと対話を続け、そこで得た見識を社内で共有しています。ハーリー・ランクは超低金利によって回復局面が訪れると、またウィル・ダノフは景気循環を考慮すればいずれ市場は復調するとの見解を示しています。また不動産市場ではサブプライムショックで多くの人が持ち家を失いましたが、スティーブ・ビューラーはそれゆえに今後は集合住宅などへの賃貸需要が高まるとの展望を語ってくれました。フィデリティの有するリサーチチームと運用担当者らの声を共有していたからこそ、私は大胆に行動できたのです。

──日本の個人投資家が彼らの投資戦略を取り入れることは可能ですか。

【ヤング】もちろんです。アメリカ市場を担う3人の投資戦略は、日本の個人投資家向けにも提供しています。日本のお客様に優れた戦略をご紹介できることは我々の誇りです。

世界トップクラスの戦略を提供し続ける

──50周年の節目に、今後どのような投資機会を日本の個人投資家に提供したいとお考えでしょうか。

【ヤング】繰り返しになりますが、人生100年時代に長期の資産運用を考えるなら、やはり国や資産クラスを分散したポートフォリオを組むことがベスト。そのための世界トップクラスの戦略を提供しています。私たちは日本の投資家の方々とともにこの50年間、さまざまな危機を乗り越えてきました。この先も、リサーチと分析力という伝統によって、日本のお客様のためにサービスを提供し続けていくことをお約束します。

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