ほとんどの人はPDCAの本質を理解していない――。12万部突破のベストセラー書籍『鬼速PDCA』でそのことを看破し、ビジネスパーソンから圧倒的な支持を得た株式会社ZUU代表の冨田和成氏。自ら鬼速PDCAを実践し、3年間で自社の売上成長率5195%を達成した同氏が、いま新たに“経営者限定”の「鬼速PDCA」勉強会をスタートした。勉強会でも語られる「成長し続ける組織の共通点」。そのエッセンスを冨田氏に聞いた。

企業成長のタネを見つけるのに絶好の場

――成長し続ける組織の共通点。あらゆる経営者にとって、非常に興味深いテーマです。

【冨田】ご存じのとおり、世の中には同じような業種、業態、規模でも、好業績の企業と低迷している企業が存在します。いったい何が、売り上げや利益、成長率の“天と地の差”をつくっているのでしょうか。いきなりですが、ここで一つ計算問題を出したいと思います。下の数式をご覧ください。

1万件の顧客リストから3件の継続顧客を獲得したことを示す簡単な数式です。では、この数式の右側の有効リスト率および各遷移率がそれぞれ“20%アップ”したらどうなるか。つまり、30%の「有効リスト率」が36%になり、20%の「アプローチ遷移率」が24%になるという具合です。

7つの遷移率などすべてが20%アップしたら、継続顧客を何件獲得できるでしょうか。3件の20%アップ、つまり「3件×1.2」で3.6件でしょうか。案外多くの人がそう考えますが、違います。正解は約11件。継続顧客はおよそ4倍にもなります。数式にすれば、以下のとおりです。

――各遷移率が1.2倍。その7乗で、約3.58倍というわけですね。

【冨田】そのとおりです。同じ1万件のリストを与えられ、「継続顧客数を4倍にしろ」といきなり言われても、どこから手を付けていいかわからない。しかし7つのプロセスに分けて考えれば、それぞれを20%改善すればいい。こうした考え方を私たちは「因数分解」と読んでいます。そして成長を続けている組織というのは、例えばトヨタでも、Googleでも、マッキンゼーでも、この因数分解を何らかの形で実践しているのです。

今回の例で継続顧客数を4倍にするためには、はじめの「総リスト数」を4倍にして4万件にアプローチするというのも一つの考え方です。4倍の“資本”を投下して、4倍のリストを得て、4倍の成果を獲得する。これも重要な方法に違いありません。

――資本の量を増やすか、改善によって業務の質を高めるか。

【冨田】そうです。つまり成果というのは、“資本”と“改善”によって生み出されている。成果を上げようと思えば、より多くの資本を投下するか、改善によって業務の質を高めるか、その両方を行うかです。わかりやすくするために営業活動を例にお話ししましたが、マーケティング活動でも、採用活動でも、まったく同じ。経営とは、“資本”と“改善”の掛け算なのです。

そして、お話したとおり、成長を続けている組織は必ず課題を因数分解して常に継続的な改善を実施している。これこそが、私たちの鬼速PDCAの一つの本質であり、また同じ規模の会社でも天と地の差が生まれる原因でもあります。

――因数分解に基づく“改善”がうまくできてない組織は、どんな問題を抱えているのでしょうか。

【冨田】それは、因数分解のもとになる「因子」が理解されていない、組織内で共有されていない場合がほとんどです。上司と部下が共通の言語を持たないために議論が深まらない。言葉の意味が受け取り手によって異なるためにコミュニケーションロスが生まれる。これは極めて多くの組織で起こっている現象です。

「お腹が痛いから治したい」と言っても、漠然と「お腹が痛い」というだけでは効果的な治療は望めません。ひとまず、最善と考えられる治療をしたとしても、それが本当に一番よい治療なのか、それとも10番目なのか、57番目なのか、結果が出てみないとわからない。ビジネス、経営の課題も同じで、その解像度が低いと解決のために遠回りをしてしまうことになります。それが業務効率の低下にほかなりません。

最善の治療を行うためには、お腹のどこが痛いのか、胃なのか、大腸なのか、すい臓なのかを明確にする必要がある。そして、それを皆で共有する必要がある。これが「因子」を理解、共有するということなのです。

冨田和成(とみた・かずまさ)
株式会社ZUU代表取締役
2006年に一橋大学を卒業し、野村證券株式会社に入社。本社の富裕層向けプライベートバンキング業務、ASEAN地域の経営戦略担当などに従事。数々の営業記録を樹立する。13年に株式会社ZUUを設立し代表取締役に就任。金融経済メディア「ZUU online」を含む資産運用の総合プラットフォーム運営などを手がける。18年6月、設立約5年で東京証券取引所マザーズ市場に上場。

――サービスとして提供している「鬼速PDCAエンジニアリングサービス」とは、どのようなものですか。

【冨田】経営課題の「因子」を見つける方法、それを使って正しい手順で因数分解、また改善を行う仕組みを一つのパッケージにしてお伝えしていきます。これまでも、多くの優れた企業がそれぞれの方法で課題の因数分解、そして改善のPDCAサイクルを回してきました。しかし、それが体系化され、明文化されたことはなかったと私は思っています。成長し続ける組織をつくるための一連の活動を“体系的な理論と仕組み”として提供するのが当社の「鬼速PDCAエンジニアリングサービス」です。

おかげさまで、これまでシステムを導入された経営者の方たちからは、「可能な限り無駄を省き、最短距離でゴールに到達できる気がしてきた」「経営課題の解像度を高くして、幹部で共通認識をつくれるとスピードは上がるという感覚を掴めた」「何事も数字に落とし込むのが好きなので、鬼速PDCAの考え方が激しく刺さった」といった声をいただいています。

売り上げを5倍、利益を10倍にする。正しい仕組みのもとで経営トップが組織を運営すれば、それが決して難しいことではないことは、私たちZUUが証明してきました。いまや気合と根性で経営はできません。組織のイノベーションに関心がある経営者の方は、ぜひ私たちの勉強会に足を運んでいただければと思います。

経営者限定「鬼速PDCA」勉強会の資料(要約版)を無料で差し上げます。

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