今、注目されている国際資格、米国公認会計士(USCPA)。日本国内で受験でき、会計知識のみならず、世界で通用するビジネス英語も身につくという。その価値を国際資格の専門校、アビタス代表の三輪豊明氏にうかがった。

国内外で「一目置かれる」国際資格でキャリアアップ

株式会社アビタス代表取締役
三輪豊明

1961年、東京生まれ。東北大学経済学部卒業後、大手証券会社、大手通信機器メーカーを経て、95年にU.S.エデュケーション・ネットワーク(現アビタス)を設立。米国公認会計士(US CPA)をはじめ国際資格取得のビジネススクールとして、グローバルな人材教育に尽力する。自らも米国公認会計士の資格ホルダー。

USCPAは米国の公認会計士資格だ。日本にも公認会計士の資格はあるが、一般には監査法人に就職するため、あるいは会計事務所を開業するための資格ととらえられている。しかし、USCPAに対する世界の認識は、これとは少し異なると三輪氏は言う。

「USCPAは、会計を核としながらも、ファイナンス、経済、監査、IT、法律など、幅広い知識を習得する資格です。取得者には、民間企業で働く人も実に多い。それも経理財務部門ばかりではなく、営業職の人も増えています。ビジネスパーソンのキャリアパスとして認知されているのです」

2011年に日本で受験できるようになり、USCPAの裾野は国内に大きく広がった。取得者が活躍する領域が広い理由は、ほぼ世界の共通言語となっている英語による資格であることも大きい。

「英語を話すのがうまくても、ビジネスの知識がなければ、海外では仕事になりません。大切なのは専門用語をきちんと理解し、適切に使いこなせるかどうか。それができていれば、一定のマネジメント能力を備えた人だと見てもらえます。一目置かれるわけです」

実際、三輪氏は仕事上、海外の組織と交渉をする機会が多い。その場面で使う英語は、USCPAの取得で学んだものだ。その専門性が「英会話スクールで英語を学ぶこととの大きな違い」だ。

アビタスは、USCPA試験の50%を占めるMC(4択問題)のiOSアプリを受講生に提供している。スマートフォン、タブレットにダウンロードすれば、通勤電車のなか、出張の飛行機内など、時間と場所を問わずいつでも手軽に演習できる。

同校のUSCPAプログラムは、通学とオンラインのどちらも自由に選んで受講できる。本番の試験は英語だが、講義は日本語だ。教材は日本語と英語を併記しており、会計をはじめとした専門的なビジネス英語を丁寧に解説している。試験科目4科目を1科目ずつ受験できるので、仕事を抱えるビジネスパーソンでも挑戦しやすい。

「受験ですから、過去問題や演習問題をたくさんやります。それで英語力がついていきます。TOEICスコアでいうならば、500~600点くらいの方で、資格取得時には200点程度はアップしています」

受講者が試験に合格するまでの期間は、1年半が一つの目安だ。1000時間必要という学習時間を確保するためには、週13時間、週末に5時間勉強すると平日は1.5時間の勉強で進められる。教材はタブレットPCやスマホでも使えるので、効率的に通勤などのすき間時間を勉強に充てることもできるという。

「少子高齢化と人口減で、国内経済の縮小傾向は避けられない状況です。海外でも活躍できる力をつけておくことは、キャリアアップに大切です」と三輪氏。USCPA取得のチャレンジは、確かに一考に値する。

仕事の幅が広がり、転職にも役立った40代後半のUSCPA取得

楽天信託常務取締役 平岡正和さん

当時、勤務していた銀行から米国現地法人の監査に行ったとき「USCPAの資格もないのに、監査ができるのか」という顔をされたのが取得のきっかけです。USCPAの取得で、ニューヨーク証券取引所上場の関連業務を任されるなどそれまで以上に仕事の幅が広がり、その後の転職でも、40代で国際資格に挑戦し、合格したことが評価のポイントになったようです。