解説/内海大祐プロ
1976年、茨城県出身。99年、プロ入会。江連忠ゴルフスタジオ(ETGS)埼玉校インストラクターとして、多くのアマチュアを指導。スウィングだけでなく、考え方も含めた指導が好評

ゴルフのスウィングにおける、「軸」のイメージについては、これまで、いろいろな説明がされてきました。例えば、90年代に、「ボディターンスウィング」という言葉が大流行した頃は、体がすっぽりと入る大きな「筒」をイメージして、その筒の中で回るといった、「太い軸」や、テークバックでは右足を軸に回転し、ダウンスウィングからは左足を軸に回転するという、「2軸」理論などで、「軸」を説明するケースが多かったと思います。また、7~8年前には、「スタック&チルト」という理論が、米・PGAツアーで大流行しました。これは、アドレスからフィニッシュまで、基本的に左足の上で回転する、いわゆる「左1軸」理論で、当時、タイガー・ウッズが採用したことでも話題になりました。ただ、現在は「太い軸」や「2軸」、あるいは、「左1軸」を採用しているプロは、それほど多くありません。

 
体重移動より軸回転の速さが重要
体重移動を使って、体を左右に揺らして打つと、ボールに強い力を伝えられそうだが、スピードが出ないので、実は効率がよくない。軸をぶらさずに、できるだけ高速で回転するほうが、効率よく、飛距離を出せる

世界のトッププロはみんな「1軸」で打っている

では、現代のトッププロが、どういう「軸」のイメージでスウィングしているのかというと、それは、不動の「1軸」ということになります。例えば、今年、全米オープンと全米プロの、メジャー2冠を達成した、ブルックス・ケプカのスウィングを見ると、トップまでは、体の各部が1ミリも右サイドに動いていないのがわかります。また、生涯グランドスラム(現役の間に、4大メジャー大会のすべてに優勝すること)まで、あと1勝(マスターズ)と迫っている、ローリー・マキロイなどは、テークバックで右に動かないどころか、ダウンスウィングでも、ほとんど左に動かずに、その場でターンして打っています。つまり、左右方向への「揺れ」を、極力排除して、1本の軸を中心に回るというのが、世界的なトレンドと言えるでしょう。

軸が不動であるメリットは、まず、高速で回転できるということ。そして、高速で回転すると、今度は、スウィング軌道が安定するというメリットも期待できます。これは、おもちゃのコマが回転する様子を想像すると、簡単に理解できます。コマは、軸心が中心につけられていないと、上手く回ることができません。これは、ゴルフで、軸が左右にぶれると、スピードを上げて振れないのと同じです。また、コマは、勢いよく回っているときは、ぶれずにその場で回り続けることができますが、回転が弱まってくると、軸がぶれて、コマ自体が揺れてしまいます。つまり、ゴルフでも、速く回れるほうが、軌道のぶれが少なくなるということなのです。

アマチュアの場合、「回転」や、「軸」の意識が弱く、体を左右に揺らしながらボールを打とうとしている人が多いようです。これだと、飛距離も出ませんし、当然、方向性も悪くなります。

軸は「背中」にイメージしよう
両足の幅の中で体が回転する
背中の軸で回ると、テークバックでは右足、右腰が少しも右にずれない。また、インパクトまでは、左にもずれずに回れる
背中の軸が左右に動いてしまう
体の前に軸の意識があると、テークバックで体が左に、ダウンスウィングでは右にずれやすく、上手くボールをとらえられない

軸を意識した途端に動きが「回転」になる

スライス など、方向性の問題で悩んでいる人は特に、しっかりとした、「軸」の意識を持つことが大事です。その際、体の前側に軸をイメージしてしまう人が多いのですが、それよりも、背中側に軸を意識するほうが、スウィング安定の効果が高いと言えます。クラブなどを、背骨にぴったりと押し当てて、そのクラブを中心に上体を回すと、頭の位置を中心に、左右にぶれない回転ができます。これが、体の前側に軸の意識があると、テークバックでは体が左にずれやすく、ダウンスウィングでは逆に、体が右にずれやすくなります。

また、アドレスでの、両足への体重のかけ方も重要です。両足とも、少しつま先寄りに体重をかけて、わずかに前のめりになるイメージで、腰を高くして構えると、アドレスが安定します。また、スウィングをスタートさせたあとも、トップ、インパクト、フォローの各ポジションで、つま先寄りの重心をキープするように意識すると、前後左右のぶれを少なくすることができます。逆に、アドレスで体重がかかと寄りになり、お尻が落ちた構えになると、スウィングをスタートした瞬間に、体が揺れてしまいます。

軸ぶれを起こす、もう一つの要因が、腕の力みです。グリップを強く握り締めると、腕から肩まで力が入り、上体をスムーズに回転させることができなくなります。そうなると、腕の力で、直線的にクラブを引っ張り上げ、直線的に引っ張り下ろすことになるので、体が左右に揺れやすくなるわけです。

軸を保つPoint(1)
つま先寄りに体重をかけて構える

アドレスで、つま先寄りに体重をかけて構えたら、スウィング中もつま先体重を維持したまま振る(フィニッシュはかかと側にかかってOK)。練習では、かかとを少し浮かせるくらい、つま先体重にするといい。かかと体重だと、少しの動きで軸がぶれる
軸を保つPoint(2)
腕の力を限界まで抜く

左腕からシャフトまでを、つながった1本の「棒」ととらえ、スウィング中はその棒が、「ぐにゃぐにゃ」に曲がるほどやわらかいイメージを持つ。無理にひじを伸ばす必要はない。腕を硬直させると、上体が回転せず、腕の動きによって体が左右に揺れてしまう
軸を保つPoint(3)
腹をしっかり左右に回す

回転するものには軸ができる。ゆえに、体を確実に「回転」させることが、軸を安定させることにつながる。テークバックで、腹を目標と反対側に向け、フィニッシュでは、腹を目標方向に向ける意識を持つことで、上体をしっかり回転させることができる

軸を意識して、体の回転で打つ感覚が身につくと、クラブがインサイドから下りるので、ボールはつかまります。また、より速いスピードで振れるようになり、飛距離もアップするはずです。ぜひ、試してみてください。

マジェスティ プレステジオ X(テン) DRIVER & IRON

気持ちよく振れて飛距離が出る!

通常の47インチのドライバーでは、ねじれやたわみなどシャフトの動きが不安定になりやすく、そのために弾道が安定しなくなります。しかし、『マジェスティ プレステジオX』のシャフトは、無駄な動きがなく、インパクトでヘッドがしっかりと戻ってきて、曲がりが少ない47インチの長さが自然に距離を出してくれます。また、アイアンは、何しろボールが上がりやすく、気持ちよく打てて、距離も出る。もっと飛距離の欲しい人や気持ちよくゴルフをしたい人にお勧めです。

 
(協力/浅見ゴルフ倶楽部 撮影/小林司 構成/菅原大成)