中古マンション市場は供給過多傾向に

首都圏でマンションを売却する人が増えている。公益財団法人東日本不動産流通機構によると、2018年8月の中古マンションの在庫は4万6376件で前年比8.2%増。2015年6月から39 カ月連続で前年同月を上回っている状況だ。一方で、2018年8月の成約件数は前年比1.7%増に留まっている。その前の3カ月間は前年同月を下回っていたこともあり、すでに中古マンション市場はピークアウトしたとする見方もある。

となれば、所有するマンションをより納得のいく形で売却するには、早め早めの対策が必要だ。そうした中で注目を集めているのがヤフーとソニー不動産が共同で運営する不動産売買プラットフォーム『おうちダイレクト』である。2015年11月のサービス開始以来、売り手、そして買い手のニーズに合わせた、さまざまなサービスを提供している。

たとえば、AIによる売却額のシミュレーション機能(オーナー登録)はその一つ。マンション名と部屋番号を入力すれば、ソニー不動産が開発したAIが、約60秒で「おすすめ売り出し価格」と「推定成約価格」を教えてくれる。具体的な売却手続きに入る前に、いくらくらいで売れそうかの目安がわかるというわけだ。(詳細はこちら

従来の『AI査定』に加え、『不動産のプロによる一括査定』も

ソニー不動産で、このサービスの責任者を務めるプラットフォーム事業担当執行役員の青木和大氏は次のように言う。「AI査定など合理的かつ先進的なサービスを好む方がいる一方で、初めての不動産売却で不安がある、いろいろと相談したいという方もいらっしゃいます。そうした方のために、複数社に一括で査定を依頼して、不動産のプロに相談しながら売却活動を行えるサービスも始めました」

実際にウェブ上で売却したい物件の情報を入力して一括査定依頼をすると、複数の不動産会社の査定価格が提示され、まとめて比較することができる。(詳細はこちら

さらに、比較できるのは価格だけではない、と青木氏。

「今後、各社のサービス内容も比べていただけるようになる予定です。たとえば、2018年度より中古住宅取引の際にインスペクション(住宅診断)の説明が義務化されましたが、これを無料で提供している会社様がいます。また、不動産会社様ごとに、この沿線に強い、このエリアに強いといった特徴を持っていて、強いエリアであれば多くの購入希望者を知っている、というケースがあります。そうした会社様を選ぶことで、売却がスムーズに進む可能性が高まります」

実は、一括査定サービスそのものは珍しいものではない。しかし、ここでも『おうちダイレクト』ならではの強みが活かされている。『おうちダイレクト』の一括査定サービスに参加している不動産会社は、ソニー不動産が開発したAI査定ツールを利用できるのだ。このAI査定ツールは、ソニー(株)R&Dのディープラーニング技術と、ソニー不動産が有する不動産査定のノウハウ・知識を活用して開発されたもので、業界最高水準の高い精度を誇っているという。(詳細はこちら

「『おうちダイレクト』の一括査定サービスに参加している不動産会社様は、売却を希望するお客様に対し、各社の知見に基づいた売り出し価格の提案を行いますが、あわせてAIが査定した売り出し価格も紹介することで、提示価格の客観性を高めることができます。これが、お客様がより納得のいく形で売り出し価格を決定することにもつながるのです」(青木氏)

不動産情報の非対称性解消への新しい提案

『おうちダイレクト』はもともと、ネットサービスを牽引するヤフーと、不動産ノウハウとAIなどのテクノロジーを持つソニー不動産が手を組んで、不動産取引における情報の非対称性を解消し、中古不動産市場を活性化しようという目的でスタートしたサービスだ。その達成のためには、売り手も買い手も十分に納得して物件を売買できる環境の構築が重要である。『プロフェッショナル売却』と名付けられた一括査定サービスの開始は、その環境をより良くするための施策のひとつといえる。

一方、『おうちダイレクト』には、『プロフェッショナル売却』と対をなす『セルフ売却』という売却方法もある。これは、『おうちダイレクト』に物件情報を登録し、不動産仲介会社を介することなく、売主自身が販売を行えるというもの。買い手の反応を見ながら価格を自由に変更できる。

ヤフーでおうちダイレクトを担当する佐藤浩紀氏は「普段から、ヤフオク!に代表されるネットでのオークションやフリマに慣れていらっしゃる方には、特にスムーズに御利用いただけており、毎日、データの動きが見られることも楽しんでいただけます」と話す。実際の売却に伴う見学の調整や案内、契約手続きに関してはソニー不動産のコーディネーターに相談できるというから安心だ。

加えて、コスト面でもメリットがある。一般的に不動産仲介会社に依頼して成約した際には、最大3%プラス6万円の売却仲介手数料が必要になるが、『おうちダイレクト』の『セルフ売却』では、自身が売り主となるため、売却仲介手数料を負担する必要がないのだ。

すでに、この『セルフ売却』で成約したユーザーも多く「買い手の反応をダイレクトに感じながら売却を進めることができた」「時間的にも労力的にも想像以上にスムーズな売却になりました」などの声が寄せられている。

もし売却を迷っている場合には、『おうちダイレクト』を簡単な事前リサーチの場としても利用可能だ。先述の通り、自身が所有するマンションをオーナー登録しておくと、AI査定結果がわかり、経年変化をグラフで見ることもできる。さらに、「あなたのマンションを買いたい」と考える購入希望者から『「買いたい!」リクエスト(※)が届くこともある。ここで手応えを得てから、本格的な売却に移ってもいいわけだ。

(※)『「買いたい!」リクエスト』とは、豊富な物件情報を蓄積する『おうちデータベース』から、購入希望者がお気に入りのマンションを見つけて、オーナー登録者に「買いたい人」がいることを通知できる機能。リクエストを登録したユーザー(購入希望者)は、気になる物件が売り出されたら、すぐに知ることができる。

『おうちダイレクト』は、不動産の売却を検討している人、不動産を購入したいと考えている人、そして、ビジネスの幅を広げたい不動産仲介会社、すべてに対してフェアでクリーンな場だ。興味のある方はぜひ一度アクセスしてみてはいかがだろうか。

※2018年9月現在、『セルフ売却』の対象は、一都三県のマンションのみ。『プロフェッショナル売却』の場合は、関東や関西圏でも利用可能。物件もマンションのほか、戸建て、土地、事業用不動産が対象となる。