日常の喧噪を離れた空間のなかで、心からリラックスすることによって、本来の自分を取り戻す――。そんな“滞在そのもの”が旅の目的となるデスティネーション型ホテルを目指すのが、三井不動産グループのホテルブランド「ザ セレスティンホテルズ」だ。2017年11月に大改装を経てオープンした「ホテル ザ セレスティン東京芝」もその一つ。上質なプライベート感とゲストサービスへのこだわりの伝統を生かしながら、ハード・ソフト両面でさらなる進化を遂げたこのホテルは、どのような時間を提供してくれるのだろうか。

伝統と革新、欧米文化と日本文化など相対する要素を融合

森田 伸(もりた・しん)
ホテル ザ セレスティン東京芝
総支配人

日本最古の公園の一つである芝公園や歴史ある増上寺が位置し、都心にありながら独特の落ち着きを感じさせる芝公園エリア。京都祇園、銀座に続く「ザ セレスティンホテルズ」としてこの地に誕生したのが「ホテル ザ セレスティン東京芝」だ。

緑あふれるパティオに囲まれたゲストラウンジで読書を楽しみ、リラクゼーション・スパでリフレッシュして、シックな客室でゆったりくつろぐ――。そんな体験の舞台となる同ホテルを支える理念について、総支配人の森田伸氏は次のように説明する。

「ホテルが建つ土地の歴史・文化を体現したデザインと体験を提供する“Local Experience”、第2の我が家のようにくつろげる“Private Style”、一人一人のお客様への心配りを大切にする“Personalized Hospitality”の3つが当ホテルのブランドコンセプト。お客様の気持ちに寄り添い、知恵と努力を尽くして最高の滞在を実現します」

薩摩藩の上屋敷跡という由緒ある土地に位置する「ホテル ザ セレスティン東京芝」の開発コンセプトは「CROSS OVER TOKYO」。基調のヨーロピアンテイストに薩摩藩ゆかりの和の意匠がしっくりなじむロビーもこれを見事に体現している。

「エントランス横の壁面アート『KIRIKO WALL』では、鹿児島の陶器・黒薩摩をイメージしたタイルや蒲生和紙で薩摩切子を表現しています。ロビー周囲の間仕切りには、江戸の桜と薩摩藩主・島津家の家紋である『丸に十字』とをモチーフとした江戸小紋柄の「KOMMON SCREEN」を設置。伝統と革新、欧米文化と日本文化など相対する要素を共鳴、融合させながら落ち着ける空間に仕上げました」

外光によって輝き、美しい陰影を見せる「KOMMON SCREEN」。カフェ&バーラウンジの入口やバーカウンターには、表情豊かな薩摩切子細工も設置されている。
天井高7mの開放的な空間の壁面にあしらわれた「KIRIKO WALL」。
 

気配りとほどよい距離感の絶妙なバランス

「『デスティネーション型ホテル』とは、お客様に『本当に心地よい時間を過ごした』と感じていただけるホテルを指すのではないでしょうか」という森田氏。その重要な要素の一つとなっていのが、同ホテルのさりげなくも配慮あるサービスだ。

「“Personalized Hospitality”を実現するには、お客様それぞれを理解することが欠かせません。どのようなお客様が、どのようなご様子で来館なさっているか、スタッフがお一人お一人にしっかり気を配ることが重要です。そして、お客様の時間を邪魔することのないよう留意しながら、その場で求められているサービスが提供できるようにする。私自身、頻繁に現場に出るよう心がけています。現場では各スタッフの動きにも気を配り、良い対応があれば後でねぎらい、必要があればスピーディーに改善する。そうしたコミュニケーションがホテルの雰囲気をつくっていくと考えています」

リブランドオープンに際しては、よりこまやかなサービスが提供できる体制を整えた。その上でゲストの要望には最大限の誠意で応えていく。朝食ビュッフェの場で「食事制限のため食べられるメニューが少ない」と言うゲストに専用メニューを用意し、感激されたこともあった。

「その場での対応でしたが大変喜んでくださり、以降も何度かご宿泊をいただいています。海外のお客様の観光やお買い物を親身にサポートして、お褒めの言葉をいただくことも多く、スタッフも『日本の、あるいは東京での滞在の印象を決めるのは自分だ』という意識で真摯にお客様と向き合っています。最近は来館されたご友人の勧めでこのホテルを選んでくださったというゲストも増えている状況です」

都会にいながらリゾート感覚で滞在できる館内空間

もちろん、客室やその他館内施設などのハード面でも大きな進歩を遂げている。宿泊ゲスト専用のラウンジ&パティオやフィットネスルーム、さらにリラクゼーション・スパなどが集まる14階は、デスティネーション型ホテルの何たるかを実感できるエリアだ。

「都会の中でリゾート感を味わえると好評のラウンジ&パティオはドリンクも無料で提供しており、パティオで日差しを浴びながら読書や歓談を楽しまれるなど、皆様さまざまにお使いいただいています。『改装でさらに心地よい空間になって、もっと頻繁に利用したい』と言ってくださる方が多いのが嬉しいですね」

ウォルナット無垢材のテーブルやソファがゆったりと配された宿泊者専用ラウンジ。インフォメーションカウンターも設置され、スタッフが滞在をサポートする。
緑の下のウッドデッキに寝椅子やテーブルを備えたパティオ。
 

そして、温かみのある天然木や高級感あふれるレザー、大理石などで構成された客室は、隠れ家のような心安まる空間だ。

「館内全体を通して開放感と遮音性は特に気を配って設計しており、『主張しすぎないシックなデザインと静けさに落ち着く』という声を多くいただきます。鹿児島産の世界三大織物・大島紬でアレンジしたスペシャルルーム『つむぎ』では、地味なイメージの大島紬を色彩豊かに再解釈したあしらいに、新しい和の文化を感じていただけるでしょう」

 

大島紬をあしらったスペシャルルーム「つむぎ」。ヘッドボード、クッション、フットスローなど、部屋の随所に大島紬が用いられている。

旅の大きな楽しみの一つである「食」も満喫できる。メインダイニング「セレスティンダイニング ラ プルーズ東京」は、臨場感あるライブキッチンを備えた和モダンのフレンチ・ダイニング。夜はコースとアラカルト、朝は60種類以上の食材を用いた朝食ビュッフェなど、鹿児島の食材をフィーチャーした料理を楽しめる。また、「カフェ&バーラウンジ セレクロワ」は、一日の多彩なシーンに合わせてさまざまに利用可能だ。

最後に森田総支配人は、次のように話してくれた。「観光、ビジネスにも便利かつ静かなエリアで、日常とは違う開放感に包まれながらも、自宅のようにゆっくりくつろげる。そんな“また戻ってきたくなるような空間”を形にできればと考えています」。

和の工夫も取り入れたフレンチを

「セレスティンダイニング ラ プルーズ東京」では、フランス料理を基本に新しい和のアイデアなども取り入れながら、「CROSS OVER TOKYO」を体現したモダン・フレンチを提供します。黒毛和牛、黒豚や野菜など厳選の鹿児島産食材をふんだんに用いており、鹿児島県の郷土料理「鶏飯」を独自の洋風スープでお召し上がりいただく「TOKYO鶏飯」などのメニューも人気です。ライブキッチンのお料理は「臨場感があり、より美味しく感じられる」というご意見も多い。手間を惜しまず、一皿一皿に心を込めて、五感を満たし記憶に残るお料理を提供します。

ホテル ザ セレスティン東京芝
調理長
元小出 満(もとこいで・みつる)

必要な時に必要なサービスをさりげなく

ご来館いただいたお客様に、「自分は歓迎され、受け入れられている」と感じていだだけるような対応をしたいと考えています。たとえ同じご質問を受けたとしても、お客様の状況によって望まれる答えは千差万別。そこでご様子をしっかり拝見し、最適なお返事は何かを考えます。また、必要な時に必要なサービスをさりげなくご提供できるよう、常に周囲に気を配るよう心がけています。館内には客室はもちろん、ラウンジ&パティオなどプライバシーに配慮した静かで開放的なスペースが多数ありますので、心からくつろいでお過ごしいただければ嬉しいですね。

ホテル ザ セレスティン東京芝
宿泊副支配人
髙橋 明子(たかはし・あきこ)

ホテル ザ セレスティン東京芝
【チェックイン】15:00
【チェックアウト】12:00
【宿泊料金】モデレートタイプ:1室1万7,600円~ つむぎ:1室5万5,000円~(税・サービス料込、東京都宿泊税別)