手つかずの自然が育む力強い営み

アラスカが州憲法にサステイナブルの考え方を盛り込んだのは、アメリカ合衆国の州に昇格した1959年のこと。以来、半世紀以上、環境持続型の漁業を守り続けていることになる。

そんなアラスカの海の魚影は実に濃い。アラスカ産シーフードと聞いてまず思い浮かぶのはサーモンだろう。アラスカで獲れる種類は多く、紅鮭、ギンザケ、白鮭(日本では秋鮭、時鮭などの呼び名あり)、カラフトマス、キングサーモン(マスノスケ)の5種。鮮やかなサーモンピンクの身は程よく締まり、一度食べたら忘れられないほどおいしい。天然ものならではの旨味、滋味をたっぷりとたたえている。

そのほか、タラバガニ、ズワイガニなどのカニ類、スケトウダラ、真ダラ、銀ダラ、カレイ、ニシン、ホッケ、赤魚類などの白身魚が代表格として並ぶ。もちろん、たらこ、白子、かずのこといった魚卵も豊富だ。

サステイナブル。労働人口の5分の1が水産業に従事しているといわれるアラスカだからこその着眼点だったかもしれないが、環境破壊が地球レベルで叫ばれる21世紀にあって、アラスカのこの英断は卓見とさえいえる。

余談になるが、アラスカには40以上の海洋保護区がある。人間の活動から保護されているのは、シーフードにとどまらない。クジラ、アシカなどの海洋哺乳類や鳥類も、安全で汚染のない環境が保障されているのだ。