成熟期を迎え、競争が激化する日本の保険市場。しかし、変化する社会のトレンドをとらえ、顧客のニーズをつかめば、そこには大きな可能性がある。日本初の外資系生命保険会社として、40年以上にわたり第一線でサービスを提供し続けているメットライフ生命は、日本をグローバル戦略の重要市場と位置づけている。長い歴史の中で培ってきたデータ分析などに基づく「サイエンス」アプローチを活用し、新たな価値の創造を目指す同社の戦略について、サシン・N・シャー社長に聞いた。

安定性と財務の健全性で顧客との約束を果たす

──メットライフ生命は、世界最大級の生命保険グループの一員として、経営の安定性などで高い評価を得ています。これまでの歩みを教えてください。

1868年に米国で誕生したメットライフは、現在、約50カ国で1億人のお客さまに生命保険、年金、従業員福利厚生、資産運用サービスを提供しています。日本では1973年に事業を開始し、多彩な販売チャネルにより幅広いリスクに対応する商品を販売。約850万件(2016年3月末現在)の契約を通じてお客さまと信頼関係を築いています。

保険が長期にわたるお客さまとの約束である以上、保険会社にはその約束を全うする財務の健全性と継続的な安定性が強く求められます。保険会社として現在米国第1位の総資産を保有する親会社のメットライフは、グローバル事業で培ってきたリスク管理や資産運用の知識を生かし、長年、財務の健全性を保ち続けてきました。2008年の世界的な金融危機において、公的資金の導入を必要としなかったのも、高いリスク管理能力の証しといえるでしょう。また日本において、金融分野における国際的な格付機関であるスタンダード&プアーズの保険財務力格付けで、日本国債を上回るレベルの「AA-」(※1)の評価を受けているのも、当グループの日本と米国での財務の健全性が評価された結果だと考えています。

ただし、日本社会が大きく変化している以上、保険会社もまた変革していかなければなりません。そこで鍵を握るのが、「サイエンス」の視点を重視した戦略です。日本での営業開始以来培ってきた当社のノウハウをベースに、各種データやお客さまの声、行動をより徹底的に分析して、マーケットに即した革新的な価値を提供し続けていく必要があると考えています。

世界の保険市場をリードしてきた150年

創業間もない時代の広告(左)と創業時の営業マンの写真(右)。

メットライフは、米国に拠点を置く世界最大級の生命保険グループ会社。南北戦争時の保障を目的にその前身が発足し、日本の明治元年にあたる1868年に設立。以来、約150年にわたって世界の保険市場をリードしている。

日本での事業開始は1973年で、国内で最も長く営業する外資系生命保険会社として、充実したネットワークを構築。コンサルタント、コールセンター、保険代理店、金融機関代理店等の多彩なチャネルを通し、幅広いリスクに対応した商品・サービスを提供しているのが特徴だ。

「カスタマー・セントリシティ(お客さま中心主義)」を基本に顧客のニーズをとらえ、それぞれに最適な、分かりやすい提案を行うことを重視している。また、顧客の保険金・給付金の請求手続きに関する満足度調査でも96.8%(※2)と高い満足度を獲得している。

※1 取材時の評価(2016年6月)
※2 2015年3月から4月までに支払い対象となった個人契約者に、メットライフ生命が2015年6月から7月に調査。