「赤いきつね」の前身商品となる「カップうどんきつね」の発売から、40年という節目を迎える東洋水産の「赤いきつね」と「緑のたぬき」。長年、水産物を取り扱ってきた経験から、カップ麺に合う“だし”にこだわり続けている。なぜ美味しいのか、その秘密を探った。
和食への関心が高まり
いま、世界が注目する“だし”
和食がユネスコの世界文化遺産に登録されたのは一昨年のこと。和食と日本の食文化への興味と関心は、それ以来高まり続けている。その証拠に、フランス西部の海辺の町ブルターニュに鰹節工場が建設されるという。和食への関心は、和食を特徴づける“だし”に向かい、それがとうとう、鰹節の、フランス国内生産へとつながった。
世界が“だし”に注目していることは、フレンチと和食のかけ橋といわれるドミニク・コルビ氏の発言を見ても明らかだ。同氏は、「ラ・トゥールダルジャン東京店」エグゼクティブシェフなどを歴任した後、フレンチ割烹「ドミニク・コルビ」をオープンさせて、和食とフレンチを融合させた名シェフである。
「昆布とかつおの“だし”を口にしたとき、日本の“だし”ならではのうま味を感じることができ、その繊細な味や香りが続く感覚に感動し、鳥肌が立ちました。世界のフレンチの巨匠が日本の“だし”を口にしたときも、私と同じようにとても感動していました。外国人が“だし”を理解するのはとても難しいですが、私たちのように味わうきっかけさえあれば、より多くの人が“だし”の魅力を理解できるようになるのではと思います」
和風カップめんを食べたことがある
外国人100人に聞きました!
コルビさんの言うことは、専門家にだけわかる特殊な世界の話でないばかりか、大袈裟な話でもない。「赤いきつね」「緑のたぬき」といったロングセラーを生み出した「マルちゃん」でお馴染みの東洋水産が行ったアンケート結果は、それを裏付ける。
対象は、欧米系の日本在住者100人。カップうどん・そばを過去3カ月以内に食べたことがあり、“だし”を知っている人である。まず、「和食が好き」と答えた人の比率はなんと98%。もっとも好きな料理を問うと、ここでも和食はトップで26%。つまり4人に1人。この数値は「母国の料理が好き」の17%を超えてしまったのだ。また、「“だし”は和食の代名詞」と考える人が88%。他のインスタント麺と比べてカップうどん・そばが好きな理由は何かとの問いに「“だし”が美味しいから」と回答した人は85%にも及んだのだ。
その他、“だし”に関する調査結果
こうして見ると、“だし”の美味しさやありがたさを忘れてしまいがちなのはむしろ日本人なのかもしれない。そこで、大ヒット商品であり、もはや国民食とも言える「赤いきつね」と「緑のたぬき」を製造販売する東洋水産株式会社をお訪ねし、カップうどん・そばをおいしくする“だし”のこだわりを伺った。お答えいただいたのは加工食品事業本部の岩野路夫さんだ。