太陽光発電では、太陽光パネルのほかに、発電システムの基幹となる重要な装置がある。パネルで発電した「直流」の電気を、家庭等での利用や売電が可能な「交流」に変換するパワーコンディショナ(以下パワコン)だ。実質的な発電量は、パネルの発電量とパワコンの変換効率の掛け算で決まる。つまり、パワコンの性能は発電量にダイレクトに影響してくるのだ。
パワコン分野で世界をリードするSMAソーラー・テクノロジーは、一貫して変換効率の向上に注力してきた。
「日本では、パワコンの性能は一般に最高変換効率で示されますが、実は明け方や夕方、曇天時など日照が弱いときの変換効率も重要。すでに欧州では指標として、入力電力が少ないときの変換効率も加味された、総合的な『欧州効率』として示されるようになっています」
こう語るのは、同社の日本法人であるSMAジャパンのテクニカルダイレクターを務める川上勝史氏だ。SMAのパワコンは、入力電力の多少を問わず高い変換効率を安定して維持する(図参照)。また運転時の冷却装置も不要で余分な電力を使うこともなく、優れた変換効率を最大限に生かすことが可能。実際、複数のパワコンを扱う施工業者からは、「同じ太陽光パネルで、これだけ発電量が変わるとは」などと驚きの声が寄せられているという。
世界21カ国に拠点を持つ同社のパワコンの強みはそればかりではない。
「海外ではパワコンは屋外設置が一般的で、当社のパワコンもすべて屋外設置仕様です。そのためパワコンがあらゆる条件で安定して作動するよう、塩害、風害、高温、寒冷への耐性を問う厳しい評価試験を実施。住宅用、産業用の小型パワコンはアルミダイキャストによる一体成型で気密度を高めています」
こうした堅牢性と信頼性、設置場所の自由度なども、SMAのパワコンが高い評価を得る要因となっている。
20年の設計寿命で
コストメリットを提供
住宅用、産業用、メガソーラー用と多様なパワコンを提供するSMAは、全タイプに最先端の技術を搭載。住宅用パワコンはすでに日本で3万台以上が設置されている。
「太陽光発電に取り組むということは、日本の電力インフラの一部を担うということ。SMAではその責任に見合う品質および機能を搭載した製品を提供し続けるため、努力を重ねています」
長期的インフラの要件の一つは耐久性だ。太陽光発電の収支シミュレーションでは、10年目にパワコンを交換することを前提に数字を出すことが一般的だが、SMAのパワコンの設計寿命は20年。工場出荷保証もオプションで20年まで延長できる。また、本年より検討されている出力抑制についてもすでに対応済みで、制御装置を用意されたスペースに入れるだけである。
日本ではパネルとセットで販売されることも少なくないパワコン。しかし欧州では、発電システムの最適制御を担うパワコンも“ユーザーが選ぶ”ことが一般的だ。変換効率の数%の差は、積み重なれば大きな発電総量の差につながる。そうした長期的な視点をもって、スマートな選択を行うようにしたい。