二次相続では東京23区
全域が課税対象に
相続では最初に、両親のうちどちらかが亡くなったときを一次相続、次に、残った親が亡くなったときを二次相続という。前述の課税割合は、一次相続も二次相続も含めた平均値だが、課税対象になる確率は二次相続のほうが高い。一次相続では課税対象とならなくても、二次相続では課税対象となる、というケースも増えると考えられる。
一般的には一次相続では父親が、二次相続では母親が亡くなるケースが多く、一次相続では利用できる「配偶者の税額軽減」などが二次相続では利用できないからだ。また、相続人である子どもは親と別居しており、自宅を保有しているケースも多い。そのような場合には、自宅の評価を下げる「小規模宅地等の特例」(下図参照)が利用できない。
このようなケースで相続税の課税対象になる確率はどの程度かをシミュレーションしたものが下の図だ。自宅の土地がその地域の平均的な敷地面積(08年)だったと仮定し、基礎控除を超える可能性がどのくらいの割合かを推計した。
赤色は100%の確率で基礎控除を超える、つまり相続税の課税対象となる地域を示している。14年末までは、東京でも主に山手線内のごく中心部に限られているが、15年1月以降は、その範囲がほぼ23区全域にまで広がっている。さらに東京郊外や埼玉県、神奈川県、千葉県も地域によっては相続税の課税対象となる。
このように都市部に自宅を保有しているケースでは、相続税の課税対象になる確率が大幅にアップすることを考えると、「わが家の場合は相続税がかかるのか、かからないのか」、大ざっぱにでも計算しておく必要があるだろう。