ガスを使った創エネの
メリットと留意点とは

岩間光佐子●いわま・みさこ
インテリアコーディネーターとしてハウスメーカーに勤務後、リクルートに転職し、ハウジング雑誌編集長などを経てフリー。現在、All About「住まいの設備ガイド」も務める。
http://allabout.co.jp/gm/gp/336/library/

創エネの「エネファーム」と「エコウィル」は、どちらもガスを使って電力と熱を同時に創るコージェネレーションシステムです。

「エネファーム」はガスに含まれる水素と空気中の酸素を化学反応させて電気を創るシステムで、化学エネルギーを直接電気に換えるためにロスが少なく、環境を汚す物質をほとんど出さないクリーンな発電です。発電の際に生まれた熱で貯湯タンクの水を加熱してお湯をつくり利用します。「エコウィル」はガスを燃料としてエンジンを動かして発電し、その時に出る熱でお湯も沸かして給湯します。

どちらも大規模発電所では利用されない熱を活かし、送電ロスのないマイホーム発電。機器がその家の電気やお湯の使用状況を学習して、最も省エネ効率が高まるように自動運転してくれます。また、温水式床暖房やミストサウナといった機器はもちろん、太陽光発電と組み合わせてダブル発電することも可能です。その場合もまずガスでの発電分から電気を使い、太陽光発電分が余れば売電できます。

注意したいのは、お湯の使用量に見合った発電をするという点。家族が多く、温水式床暖房を使うなど、湯の使用量が多い家庭のほうがメリットは大きいでしょう。

各メーカー商品希望小売価格は、エネファームが200万~300万円、エコウィルが80万~100万円程度。エネファームは標準的な家庭の年間電気使用量のおよそ5割程度、エコウィルは3~4割程度をまかなうことができるという試算もありますので、家族構成やライフスタイルに合わせて検討したいもの。いずれも設置にはスペースを要することなどから、戸建てが対象でしたが、今春にマンション用のエネファームも登場。今後広まっていく可能性もあるでしょう。

ベースとなる「断熱」で
トータルなメリットを実現

蓄エネに関しては、製品的には家庭用蓄電池でしょう。蓄電池のメリットは、停電時などに非常用電源として利用できること、深夜電力を蓄えて昼間に使用できること。製品の性能にもよりますが、テレビやパソコン、冷蔵庫などを数時間稼働することが可能です。価格は数十万から百数十万円。今後の価格低下や性能向上に期待したいところです。

忘れてはならないのは、省エネにしろ創エネ、蓄エネにせよ、いくらすぐれた設備を入れても、住宅自体の断熱性がよくなければ台無しになってしまうこと。新築時はもちろんですが、リフォームでも断熱性を高めるために、後付けできる内窓や断熱パネル(内壁材)もありますので、機器とともに検討を。断熱性が高くなれば、暖房も冷房効果も高まります。

エコロジーに貢献し、光熱費も節約すると同時に、日々の生活をより快適に、便利に。省エネ、創エネ、蓄エネではトータルなメリットを目指したいものです。国や自治体の補助金が出る場合もありますので、しっかり利用してください。