読書がもたらす「知識の複利効果」
これには、
・知的好奇心が高いから、読書をする(知的好奇心 → 読書)
という因果関係もあると思われますが、反対の、
・読書が知的好奇心を高める(読書 → 知的好奇心)
という因果関係も含まれていると思われます。
なぜなら、私たちが新しく何かに興味を持つときというのは、
・過去の行動で得ることができた知識に強い価値を感じた経験があり、ふたたび「知識を得る満足感」を得たいと感じたとき
・現在の自分の知識と理想の知識の間に、埋めるべきギャップを認識したとき……すなわち、「知識の不足感」を痛感したとき
だからです(※)。知識を得る満足感はもちろん、知識の不足感も、「知識を得る行動」のトリガーになっています。
(※)Murayama, K.(2022). A reward-learning framework of knowledge acquisition: An integrated account of curiosity, interest, and intrinsic–extrinsic rewards. Psychological Review, 129, 175-198.
すなわち、人は知識を得れば得るほど、もっと知識を得たくなるのです。そして読書が、そうした知的好奇心を高めるサイクルに貢献しうることは容易に想像できるでしょう。
知識の習得が生む喜びと探求心
ちなみに、ここでの「知識」とは、豆知識、学問的知識、謎の解決、さらにはスポーツなどの技能までを含んだ広い概念です。
誰でも、打ち込んでいることを、上手にやれるようになれば嬉しいですよね。私も、小学生のときにはサッカーをしていて、少しうまくなると「もっとうまくなりたい」と思ったものでした。大人になってからは一時期マラソンにハマっていて、練習の成果が本番のレースで活かされたときなどは純粋に嬉しく、これも「もっと練習しよう」という決意につながっていました。
読書でも、そうしたことがあります。
あるとき読んだ説明文の本が「当たり」なら、知的な興奮に引っ張られて、すぐに次の本が読みたくなります。これは知識を得る満足感をふたたび得たい、という気持ちからですね。
そんなときに最初に探すのは、説明文ならその本の内容と関連したもので、自分が知らないさらなる情報をくれそうな本です。本を読んで知識がついたために、かえって自分の知らないことがまだまだあることに気づき、その知識の不足感を埋めたいと感じるわけです。
物語だと、知識の不足感というのはあまり関わってこないかもしれません。でも、大きな感動をもたらしてくれた小説ならば、すぐに同じ著者の別の作品を読んでみたいと思うのは自然なことです。これは知識を得る満足感をふたたび得たい、というモチベーションに近いですね。


