横浜市で最大規模のエコタウン「リストガーデンダイヤモンドパーク」。バス便利用の立地ながら、全127戸が早期に完売した。好評の理由は住環境・設備の良さにとどまらない。開発を手がけたリストの街づくり哲学がそこにある。
区割りより先に考えた
安心・安全のあり方
東日本大震災の後、漠然とした不安を覚えながら、日々を暮らす人が増えたといわれる。何に対してというのではない。何となくモヤモヤとした不安感だ。
安心・安全な暮らしは誰もが望むことだ。では、住環境において、それはどのように実現されるのか。横浜市旭区の「リストガーデンダイヤモンドパーク(LGDP)」は、その解答のひとつといえるかもしれない。
同住宅地は、戸数127戸。全戸に太陽光発電を備え、国内初の電気自動車によるカーシェアリングを導入するなど、省エネとエコロジーに配慮した仕様。横浜グリーンパワープロジェクト(YGP)の認定第1号となっており、規模も市内で最も大きいエコタウンである。
加えて、安全と防災にも細かな気配りがされている。例えば、住宅地内の道路には十字路がない。通行する車の速度を抑えるためだ。
また、カーシェアリングの車両駐車場は、住宅地内の防災拠点でもある。防災備品を備え、非常時に電気自動車の電力を照明などに使えるようにもしている。
「一般に住宅地の開発では、区割りや住宅の仕様を先に決めるのですが、この街ではそれをしませんでした」と開発を担当したリスト(株)マーケティング部の相澤毅さんはいう。
「この街に住む人の日常に、どのような安心・安全を提供すべきか。そこから街づくりを考えました」
そして、行き着いたのが、コミュニティづくりである。住宅地の中央には、1000平方メートル超の芝生の公園を置いた。住宅地内の5カ所にクルドサック※を設け、井戸端会議が楽しめるような歩車共存の空間とした。
「安心・安全はハード面だけでは賄えない。支え合う人のつながりが大切です」と相澤さんはいう。
※クルドサック:自動車の方向転換が可能なサークルを設けた袋小路