偏差値70以上となり全国トップクラスの仲間入り

偏差値は、全国の進学希望者や高校の進路指導担当者が重視する基準の一つである。ただし、募集定員が少ないと推定誤差が大きくなり、偏差値の信頼性が低下する。定員5人のみで70台になるのと、50人で70台になるのとでは、意味合いが異なる。そこで、入試改革を念頭に掲げて以来、私は一貫して、募集定員が50人以上ある日程の入試、すなわち各大学が重点的に配分する日程に限って比較を行うようにしてきた。図表2のランキングは、この方法に基づいたものだ。

細井裕司『挑戦する人か、文句を言う人か 奈良医大7883日の奮闘と大改革』(日経BP)
細井裕司『挑戦する人か、文句を言う人か 奈良医大7883日の奮闘と大改革』(日経BP)

河合塾のデータで、2026年度の募集人数50人以上の国公立医歯薬系入試の二次試験偏差値を見ると、奈良医大後期(募集定員53人)の二次試験偏差値は70.0で、72.5の東大理3(前期・同97人)、京大医学部(前期・同103人)に次いで第3位となっている。年度によって若干の変動はあるものの、2013年度の入試改革以来、奈良医大後期日程入試の偏差値は、常に70以上で全国トップクラスの仲間入りを果たしている。

改革当初に寄せられた「全国から学生を集めても、卒業後に県外に流出してしまうのではないか」という懸念は確かに無視できない。しかし、入試の目的を「優秀な学生の獲得」と明確に定め、そのための戦略を一貫して実行したことで、奈良医大は全国医学部の中で存在感を大きく高めることができた。県内定着をいかに実現するかという課題は別途の取り組みで対応すべきであり、入試改革の本旨をぶらさずにいたことが功を奏したといえる。