教職員の育成にも期待
湯﨑氏は叡智学園に対し、教職員の人材育成という面でも期待している。
叡智学園は公立校であることから、教職員の異動がある。叡智学園で新たな教育法や子どもとの向き合い方を学んだ教員が、県内の他の学校へ異動して良い影響をあたえる。そうした循環がいずれ全国へと改革の波を広げていくことを考えている。
とはいえ自らも従来の教育制度で学び、それに沿って教鞭をとってきた教員にとって、IBの背景や制度を理解し、体現することには大きなハードルがあることも理解している。
そこで、叡智学園では当初、関係者に対して2年ほどみっちりと研修を行い、さらに現在でも教職員を対象に、週に1回はIBについて学ぶ研修を行うなどサポートを充実させている。
叡智学園に端を発する「学びの変革」の挑戦はまだ途中だ。これから2期生、3期生が学園からはばたく中ではさらなる課題も見つかるだろう。例えば湯﨑氏が危惧しているのは、偏差値やテストの点数といった従来の価値観から脱却したはずが、今度はIBのスコアに対して生徒や教員が最適化してしまわないか、だという。
ある意味、学園を手探り状態で始めたことで当初はこうした問題が起きなかったが、体制が確立されて安定していくほどに、この課題はつきまとうだろう。
まだ途上にある学びの変革が一服したのち、さらなる変革を起こしていけるか。学生・教職員だけでなく、学園そのものもこれから答えのない問いと向き合い続ける必要があるだろう。瀬戸内海に浮かぶ小さな島から始まった変化の波紋は、どのように広がっていくのだろうか。


