合格を「キープ」するだけで10万円かかる

意外と算出しそびれやすいのが、結果的に入学しない大学への納付金。

厄介なことに、大学受験は偏差値の低い順に入試の日程が組まれているため、第1志望ではなくとも受かってキープしておきたいところは、受験日の10日後ぐらいには入学金を払わなければなりません。もちろん、入学金も国公立・私立大学ともに値上がりしていて、今では約10万円かかります。2つ押さえたいとなると、20万円支払わなければなりません。

国公立は日程の関係で前期・中期・後期それぞれ一校ずつしか受けられませんが、「国公立を第1志望にすれば無駄な入学金を払わなくて済むのでは」と思うのは大間違いです。

国公立の入試は2月末に行われるため、2月は私立大学のみの子と同じように滑り止め目的で私立大学を受験することになるのです。

国公立志望の子は、受験から解放されるのが最後となり、キープのために入学金を払うかどうか判断するシーンも必然的に増えるため、むしろ不要な負担が膨らむこともあるでしょう。

私立はマークシート、国公立は記述と対策が異なるため、国公立志望の子の中には私立を5つ程度しか受けず勉強のための時間の確保を優先する人もいます。作戦はそれぞれあっていいと思いますが、受験校が少ないほど選択肢が少なくなるのは当然です。浪人の道しか残されない、といったリスクをはらんでいることはあらかじめ知っておかなければなりません。

必要な費用は国公立と私立で大差なくなっている

昔は、国公立のほうが授業料が低く、「お金をかけたくない家庭向け」とか「だからこそ高い学力を求められる」といったイメージがありました。確かに今も、授業料は国公立のほうが低く、「国公立しか行かせられない」と言われる子もいることにはいます。

しかし、実は必要な費用を合算すると、国公立と私立で大差なくなっているのが現状。

さまざまな科目を勉強するのが苦手な子の場合、国公立であれば偏差値55のところしか行けないかもしれませんが、私立であれば偏差値60を狙えます。

偏差値を5上げるために80万円を出せるか、あるいは渋るかということです。もちろん家庭それぞれで状況が異なりますし、80万円も決して少ない額でないことは私も理解しています。

ここでお伝えしたいのは、大学受験の変化を知り、まずは考えてほしいということ。

ただ闇雲に「私立はダメ」と決めつけるのではなく、少し立ち止まって試算してもいいのではないでしょうか。

費用面で言うなら、国公立か私立かよりも、大学の立地のほうが重要かもしれません。一人暮らしをさせるには、家賃も生活費も必要になります。下宿の場合も、大学の近くに住めることばかりではないため、交通費もそれなりの額を覚悟しておく必要があるでしょう。