メガバンク就職が「人生の勝ち組」だった2010年代

かつてメガバンクは、学生から圧倒的な人気を誇った。高い給与水準・大量採用枠に加えて、社会的なステータスも魅力的だった。大手銀行に就職した、というだけで親や周囲からの評価が高まり、恋愛・婚活市場でも一目置かれる存在になれた。

さらに言えば、配属先こそ厳しい営業店であっても、「支店で鍛えられて這い上がる」というキャリアパスが既定路線として存在していた。いわば「安定した給与」「社会的信用」「努力次第で逆転可能」という三拍子が揃い、メガバンクは学生にとって極めて魅力的な選択肢だったのである。

実際に、MARCHの一角である立教大の2014年卒就職ランキングでは、メガバンクがトップ3を独占している。東大や早慶においても、「まずはメガバンに」という志向は根強く、多くの学生が銀行を第一志望に据えていた。

【図表2】立教大の就職ランキング(2014年学部卒業者)

2020年代に激減した「ソルジャー枠」

しかし2020年代に入ると、その光景は一変する。前述の立教大学で比較すると、2024年卒では、公務員のランクインが増え、メガバンは9~15位と大きく後退し、就職者数は3分の1程度となっている。慶應でも概ね半減しており、東大に至っては激減といえる水準まで減少した。トップ校の学生はコンサルティングファーム、総合商社、官公庁、テクノロジー企業へと志望先を移している。

もっとも、高学歴層も一定数の採用は続いている。銀行は依然として幹部候補層の多くをトップ大学から確保しており、実際に過去20年メガバンクの頭取は、東大・京大・一橋大・早慶の5校出身者のみだ。彼らのような幹部候補は入社時から明確に区別される。高度な判断を行い、巨大組織を率いる将来の使命を託される可能性が高いエリートたちだ。

しかし、悲惨なのは文系MARCH卒だ。以前は全国各地の支店に配属され、投信・外貨・住宅ローンなどの販売ノルマを背負い、電話・訪問で数字を追うソルジャー営業が典型的なキャリアの入口であった。しかし、新卒枠は激減し、その限られた枠もトップ校や専門スキル人材に振り分けられている。その結果、ボリュームゾーンである文系MARCH卒の椅子は減り、メガバン就職難易度はむしろ上がった可能性もある。現実はメガバン不人気化ではなく、入社枠が減っただけなのかもしれない。

【図表3】立教大の就職ランキング(2024年学部卒業者)