日米2つの学位は強み
途上国とともに成長したい

田中智之●たなか・ともゆき
立命館大学 国際関係学部 5回生

国際関係学部5回生の田中智之さんは、2010年8月から12年6月まで、双方の学士号を取得できる「学部共同学位プログラム」(DUDP)で米国のアメリカン大学(AU)に留学した。

僕の専攻は、国際協力開発です。留学中、アフリカの貧困対策に取り組むNGOに加わって、現地も訪問しました。来春、総合商社に就職する予定ですので、途上国の人々と一緒に、互いが成長できるようなビジネスをしたいと考えています。

AUでの収穫は専門知識だけではありません。周囲の学生たちがもつ挑戦への意欲、勢いはすごい。僕は高校で経験があったからAUでもラグビー部に入りましたが、その秋の新入部員はほとんどが初心者でした。でも彼らは「できるだろうか?」と計算する前に「やってやろう」と動くんです。在籍中にチームはリーグ昇格を達成。「『できるか、できないか』じゃない。『やるか、やらないか』が問題なんだ」という自己意識の改革ができました。

それは学業にも生きたと思います。両親にあまり経済的負担をかけまいとオナーズ(成績優秀者)を目指し、特待生にまでなることができました。

留学中、アフリカに給食を届ける活動をするNGOに加わり、現場にも赴いた

DUDPで取得できる国際通用性の高い2つの学位も、将来への大きな強みです。いつか米国のビジネススクールに再び留学したいので、そのときもAUの学位は必ず役立ちます。

目指しているのは、バランス感覚とリーダーシップを兼ね備えた本物のグローバル人材です。やがて社会に出れば、これまで以上の困難に出会うことでしょう。克服への関門は「やるか、やらないか」。もちろん、やるしかありません。

取材を終えて──

「立命館の学生は実に多忙」という。多数の学生がゼミ、クラブ、ボランティア組織など、一人でいくつもの「コミュニティ」に属し、そこで「闘う」、つまり「もまれる」のである。留学もその一環だという。留学制度を利用するには、“明確な目的”が必須条件で、それがない場合は初めから対象になり得ないという方針も評価できる。留学自体が目的化してしまっては確かに意味がない。意識が高いからこそ海外でも闘い抜ける。そして、その経験が自身を成長させるのだ。夢と希望に満ちた彼らの未来を、応援したい。