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民主党代表 海江田万里(かいえだ・ばんり)

1949年、東京都生まれ。慶応大学卒業後、参議院議員秘書を経て、経済評論家として活躍。93年、衆院議員初当選。96年、民主党結党に参加。内閣府特命担当大臣、経済産業大臣などを歴任。昨年、民主党代表に就任。


 

昨年末の選挙で党が大惨敗した直後に「火中の栗」を拾う決断で代表就任。「粉骨砕身、党再生のために自分の生を全うする」と意気込んだ。経済評論家から転身し1993年衆院議員に初当選。96年の民主党創設メンバーだ。落選も経験するが、党政調会長や経産相など重要ポストに起用される。

テレビでも有名な政策通だけあって、そこそこの存在感だが、攻めに弱い。4月の党首討論では、「アベノミクス」の副作用を質すも、安倍総理に株価上昇など実績ばかりをアピールされる始末。自民党が消極的な「議員定数削減」などへの追及は不発に終わった。

守りも弱い。経産相当時、国会で野党に辞任を迫られ、泣いてしまった姿は記憶に新しい。原発政策を巡って当時の菅総理と不一致があったとはいえ、「政治家は自分の苦しみで泣くべきではない」と批判された。また、経営者が逮捕された安愚楽牧場への出資を、評論家時代に推奨していたことへの責任が問われ、「議員になってからは何の関係もない。弁護士がコメントを出している」と逃げ腰の説明に終始した。

「弱々しい」と批判する議員も多い。しかし、瀕死の民主党には適任だと擁護する声もある。攻めも守りも弱いからこそ、敵をつくってまで自己主張をしない。だから党内で摩擦を生まない。かつて「小沢か反小沢か」で内ゲバに陥った反省からか、「今はまとまりが大事。アベノミクスが行き詰まるのを待って反転攻勢」とは海江田氏に近いある議員。これでは思考が内向きすぎる。発信力がないから復活の手がかりすら見えない。6月の都議選も議席は大幅減。7月の参院選も厳しい戦いだ。対立を避けるのでなく、議論しても最後はまとまってリーダーを支えるという政治文化を育くんだ先に、可能性があることを自覚してほしい。

(PANA=写真)
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