PANA=写真

ダイハツ工業副社長(次期社長)
 三井正則
(みつい・まさのり)

1950年生まれ。大阪府出身。75年中央大学理工学部卒業後、ダイハツ工業入社。2004年取締役。06年ダイハツ九州常務、07年同専務などを経て、10年よりダイハツ工業副社長。


 

アベノミクスの追い風に乗って日本の「失われた20年」にようやく終止符が打たれそうだが、企業の中にも別の意味で「失われた20年」に終止符を打つ会社がある。

トヨタグループのダイハツ工業では親会社からの“派遣社長”がしばらく続いたが、6月27日付で社長に昇格する三井正則副社長は、大学卒業後の入社以来、生産技術畑を中心に歩んだ正真正銘のダイハツマン。生え抜き社長の誕生は実に21年ぶりのことである。

「成長戦略の次のステージを進めるには最も適任であり、プロパーとかは関係なく人物本位で選んだ」(伊奈功一社長)と強調するが、社員の士気を高めながらものづくり改革を推進し、商品力や競争力の強化を目指すには、うってつけのトップ交代とみられる。

ダイハツの2013年3月期の連結決算は、国内で軽自動車、海外ではインドネシアなどでの新車販売が好調だったことから、売上高、営業利益、純利益とも過去最高を更新した。軽自動車のシェアも34.1%と7年連続で首位をキープしたが、過去最高を記録した35.7%と比べると低下した。鳴かず飛ばずのホンダが本気で“軽シフト”を強めて大躍進した影響が大きいからだ。しかも、この6月には、日産自動車が三菱自動車と共同開発した初の軽自動車を投入するなど軽の販売競争も激しさを増している。

それでも、ダイハツは「シェアにはこだわり、今年もトップをとる」(伊奈氏)と公言する。三井氏自身も「大競争時代を迎えて責任と使命は重い」と顔を強張らせたまま、「改革のスピードを加速させて大きな成果をつくり上げたい」と抱負を述べる。ワンポイントの起用ではなく、久しぶりの生え抜きの椅子を守り抜くことも新社長に課せられた責務のようだ。