「もうしない」の連呼は意味なし!

パートナーとケンカをするたび、昔のことをほじくり返されてネチネチ言われる。そんな思いをした男性は多いのではないでしょうか。

なぜ女性は根に持つのか。それは、嫌な思いをした記憶を忘れては困るからです。「子を産み・育てる性」である女性は、基本的に自分と自分の子どもの身を守ることを第一に考えます。自分に与えられた危害を忘れてしまうと、また同じ人に嫌な思いをさせられるかもしれません。2度と同じ目にあわないために、嫌な記憶を脳に留めておくのです。

女性の脳は、不快な思いを大脳皮質という部位で処理するようにできています。大脳皮質は、理性、知性、言語といった高度な脳活動を司っているところです。女性は大脳皮質でネガティブな感情を捉えると、その感情を言語化し、長期記憶として蓄えます。

一方、男性は感情を脳の中心の扁桃体という器官で処理します。そこが司るのは短期記憶。だから、すぐに忘れてしまう。いうなれば、女性の脳は感情をどんどんため込むバケツで、男性の脳は感情を網目から素通りさせるザルです。そして、女性のバケツはいつか水があふれ出し、ひっくり返ります。そのときになって初めて男性はあわてふためくのですが、もう手遅れということも少なくありません。

私の友人の1人で、妻が毎日「結婚後、知らない土地でさびしい思いをした」「育児を手伝ってくれなかった」などと昔のことを引きずり出して、自分を責めてくるといって困っている人がいました。私は「しゃべりたいだけ、しゃべらせなさい。そして、つらかったね、僕も悪かったと共感してあげなさい」とアドバイスしました。その人は、それから毎日、黙って妻の話を聞き続けたといいます。

1カ月もすると「私も変わらないといけない」と妻が反省し始め、そしてある日「あなたがいないと私は生きていけない」と言ったそうです。相手の言葉を受け入れ、共感してあげる。これが女性との対話の第一歩です。