2013年7月1日(月)

「年収100万円」人材に成り下がる人

しごとの未来地図

PRESIDENT 2013年7月15日号

著者
遠藤 功 えんどう・いさお
早稲田大学ビジネススクール教授 ローランド・ベルガー会長

遠藤 功早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士。三菱電機、米系戦略コンサルティング会社を経て現職。良品計画社外取締役、ヤマハ発動機社外監査役も務める。主な著書に『現場力を鍛える』『見える化』『新幹線お掃除の天使たち』など。

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早稲田大学ビジネススクール教授 ローランド・ベルガー会長 遠藤 功
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スマホを捨てよ、町へ出よう――。デジタル全盛の時代、代わりの利かない人材になるための材料は身の回りに転がっている。

できる人の共通点は「旺盛な好奇心」

昼食をとろうと池袋の雑踏から少し離れた定食屋に入った。隣の4人掛けのテーブルに同じ会社に勤めていると思われる30歳前後の4人組が座っていた。同じ会社だと思ったのは、知らぬ人同士の相席のようなぎこちなさがなかったからだ。

でも、この4人は私が定食を食べ終わり、店を出るまで、結局一言も会話をかわすことはなかった。4人のうちの3人はスマホ相手にゲームに夢中。もうひとりは漫画本に熱中していたのだ。

昼休みに何をしようとその人の自由だ。でも、私は彼らの様子を見て、大きな違和感を感じた。

スマホや漫画がけっして悪いわけではない。こうした文明の利器や娯楽文化は、私たちの生活の利便性を高めたり、豊かなものにしてくれる。しかし、それらは人間から貴重な時間を奪い、現実から逃避する手段にもなりえる。私がスマホや漫画に熱中する人たちを見て危惧したのは、彼らが自分だけの世界に逃げ込み、一切の関わりを「遮断」しているように見えたからだ。周囲で起きていることや他の人たちにまったく関心がないように私には映った。

彼らはこの昼休みに何かを感じたり、何かに気づくことはあったのだろうか?

会社から定食屋に来るまでの道すがら、木々の緑や初夏の風を感じたり、商店街の店の様子に関心を寄せるようなことがあったのだろうか?

同僚と上司の愚痴を言い合ったり、会社の他の部署で起きていることに興味を持つことはないのだろうか?

どんな仕事であれ、仕事ができる人に共通するのは「好奇心」が旺盛なことである。自分の身の回りのことからいろいろなことを感じたり、小さな変化に気づく。そして、そこから発想を膨らませたり、新たなアイデアを生み出すことに長けている。スマホや漫画に逃げ込んでいたのでは、人間の感性は錆ついてしまう。

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