彼女のギャラが出る(もしくは出ない)仕組み

「ときめく方がいいよね」(コスプレイヤー=白幡いちほ(少女ジャンプーズ) 撮影=筆者)

秋葉原では、たくさんのアイドルたちが活動しています。秋葉原はまさにアイドルの聖地と言えるでしょう。「アイドル」といえば、テレビや雑誌でよく見かける可愛い女の子を思い浮かべるかもしれません。しかし、秋葉原で活躍するアイドルたちは、「ライブアイドル」と呼ばれる、新しい種類のアイドルです。

ライブアイドルは、これまで主流だったアイドルと異なり、マスメディアで見かけることはほとんどなく、主な活動場所は小規模のライブ会場です。AKB48も、かつては秋葉原で活動するライブアイドルでした。今までのアイドルは、メジャー(スター)になることを目標として、その指標としてCDの売り上げを重要視していました。そのために、大規模なライブコンサートに出演し、CM、グラビア、ドラマなど、大衆向けのマスメディアでできるだけ多く露出することが、主なプロモーション手法でした。ところが、ライブアイドルの場合、純粋な舞台芸術のごとく、ライブステージに立ち自己表現することが主な目的なのです。

ライブアイドルは、その名の通り、ライブハウスやイベントでのライブ活動が「本業」なのですが、そこで得る収入は十分ではありません。アイドルによっては、ステージに立っても、まったくギャラがないアイドルもいます。ライブイベントでは、複数のアイドルが一人あたり15〜30分の枠でステージに立ちます。観客は会場に入場する際、どのアイドルを観に来たか自己申告して2000〜3000円の入場料を支払います。アイドルは、自分を観に来たと申告してくれたファンの数が一定数(たとえば10人以上)を超えると、初めて入場料の一部をキャッシュバックで受け取れます。イベントの主催者は、会場代などの費用を先に回収し、利益分を出演者と分配するからです。つまり、アイドルたちは、一定数の自分目当てのファンを集めないと、交通費も出ないことがあり得ます。