2013年7月16日(火)

「秋葉原を席巻するオトメたち」前編

秋葉原☆マネタイズ【第16回】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
梅本 克 うめもと・まさる
デジタルハリウッド大学客員准教授 Ph.D.(経済学)

梅本 克

1967年生まれ。1998年、ヴァンダービルト大学(米国テネシー州)卒。米国留学時より少女漫画の翻訳活動を通して日本文化の普及に努め、2005年にアジアアニメーション産業組織体(AAO)を立ち上げて、アジア各地でコンテンツ産業の育成や若手クリエイターの支援を行う。これまで国内外で多くのアニメ、ロリィタファッション、ヴィジュアル系など、日本のポップカルチャーに関わるイベントをプロデュースし、現在は秋葉原に活動拠点を置いて、新しい文化の創造と発信を通した地域活性化プロジェクトに携わる。趣味は仏像鑑賞とコスプレプロデュース。柔道二段と茶道石州流奥傳の資格を持つ。主な関心は秋葉原における趣味文化の経済学。

執筆記事一覧

梅本 克=文(デジタルハリウッド大学客員准教授)
1
nextpage

秋葉原駅を取り囲んだオトメたち

「また君に会えて、本当に嬉しかったんだ」(コスプレイヤー=Akuna 撮影=arisa)

先月、秋葉原で奇妙な光景を見ました。朝7時ごろ、JR秋葉原駅をぐるりと取り囲むように人が並んでいるのです。電気街口の近くの店舗で早朝に販売される商品を目当てに、その店の前から最後尾は中央口のヨドバシカメラ前まで1500人ほどの列ができました。

店前に長い待機列が出来るのは、秋葉原では特に珍しくもない光景ですが、今回はいつもと少し違う。待機列に並んでいるのは、女性ばかり。秋葉原と言えば、男性の街という印象が強いだけあって、女性ばかりの長蛇の列は、とても特異な光景でした。

彼女たちの目当ては、会場限定のキャラクターグッズが当たる1回600円のくじでした。1人5回までと制限されていたので、女の子たちは3000円を握りしめて列に並んでいるのです。そのキャラクターは、「乙女ゲーム」と呼ばれるある女性向け恋愛シミュレーションゲームに登場する美少年たちです。

「乙女ゲーム」では、プレーヤーは女性主人公になりきって、ゲーム中に登場する美少年たちと仲良くなれます。人気タイトルは、アニメ化され、多種類のキャラクターグッズも販売されます。「乙女ゲーム」のキャラクターを演じる声優が出演するイベントには、人気アイドルさながらに多くのオトメたちを集めています。

女性向けである「乙女ゲーム」に対して、当然、男性向けの恋愛シミュレーションゲームもあり、多数の美少女が登場することから「美少女ゲーム」と呼ばれています。1990年代に秋葉原でパソコンブームが起こった際、パソコン用ゲームソフトで、アダルト向けのゲームが出始めました。そのアダルトゲームから、画像の質が向上し、ストーリー性のある高度な作品まで昇華された、「美少女ゲーム」と呼ばれるものが現れました。秋葉原のメイドカフェやコスプレ系飲食店も、元は「美少女ゲーム」の販促イベントから派生したもので、今の秋葉原のイメージは「美少女ゲーム」の勃興と深く関わっているのです。

PickUp