不動産の価格が本格的に上昇を始めそうだ。不動産セクターに属する企業の2012年末の株価は、年初に比べて80%上昇した。一般に株価は実体経済に先行する指標と言われており、不動産価格が上昇基調にある証左の1つだと言えよう。

背景にあるのは、インフレへの期待である。現在、日本の民間部門には家計と法人を合わせて2350兆円の金融資産があり、これはGDPの約5倍。インフレ期待が高まれば、現預金の保有リスクが生じ、投資熱が沸騰する。金融資産の一部が不動産へと流れれば、価格も上昇することになる。

税制改正も価格上昇に影響するだろう。今年の税制改正の目玉としては、富裕層の所得税率アップ、相続税の基礎控除額の引き下げ、孫への教育資金1500万円の贈与非課税枠の創設が挙げられる。これらによって、消費意欲や投資意欲が活性化すると考えられる。

では、不動産価格はこれからどの程度、上昇するのか。不動産価格は消費者物価に比べて相対的な変動率が大きい。仮に消費者物価が安倍政権の目標通り前年比2%まで上昇したとすると、不動産の平均価格は20%程度まで上昇する可能性は十分に考えられる。都市部での上昇幅はさらに高くなるだろう。

最新(2012年12月)の消費者物価指数は前年同月比-0.2%。2カ月連続で下落しているものの、2009年8月の前年同月比-2.4%を底に、上昇基調にある。次期日銀総裁が現在よりも積極的な金融緩和を推進すれば、1年程度でプラスに改善していく公算が高い。

そもそも、現在の不動産価格は、世界各国と比較するとまだまだ割安な水準にある。不動産投資の世界では借入金の金利と投資物件の利回りの差をイールドギャップと呼ぶが、アメリカ、イギリスが2%程度であるのに対し、日本は4%。つまり、日本の不動産は取得額の割に儲けが多く、投資家にとって“うま味のある”市場なのだ。

事実、不動産投資のプロたちは動きを加速している。例えば、今年1月のJ-REIT(上場不動産投資信託)の物件取得額は6530億円に上り、すでに昨年1年間の水準の8割超に達している。底値は過ぎたものの、当面は価格上昇が続くと考えられ、一般消費者にとっても、“買い”の局面と言えよう。