西武鉄道やプリンスホテルを傘下に持つ西武ホールディングス(HD)の株式再上場が暗礁に乗り上げている。同社の筆頭株主である米投資会社のサーベラスが仕掛けた西武HD株の株式公開買い付け(TOB)をめぐる両社の対立が泥沼化の様相を呈してきたからだ。さらに、公共性の高い鉄道事業との関係で当事者以外からも、サーベラスが提案したとされる不採算路線の廃止に地元自治体が反対し、同じ鉄道事業者である東海旅客鉄道(JR東海)の首脳が鉄道への外資規制の検討を唱えるなど、西武HD株の再上場の行方が混沌としてきた。

事の発端は、西武HDの32.44%の株式を保有するサーベラスが追加株式取得に向け、3月12日に西武HD株のTOBに踏み切ったことにある。早期の再上場を目指し昨年10月に東京証券取引所に上場を申請した西武HDに対し、サーベラスが難色を示していたからで、同社は株式の追加取得で株主総会での特別決議に対する拒否権を行使できる3分の1超の株式を保有し、経営に圧力をかけるねらいがあるとされた。さらに同社は、西武HDのガバナンス(企業統治)強化に向けて、社外取締役に元金融庁長官の五味広文氏ら3氏の選任も求めた。

西武HDの後藤高志社長は3月26日の会見で、「いいかたちでの早期の上場を阻害し、企業価値を損ないかねない」と、サーベラスによるTOBと社外取締役の提案に反対する意向を表明。これで同社のTOBは敵対的となり、当面は4月23日までが期間のTOBの行方が焦点となる。

しかし、西武HDの経営陣と筆頭株主の経営をめぐる確執によって上場手続きは進められず、再上場が遠のくことは避けられない。同社としては不動産開発事業の拡大などに向けた資金調達のため、早期の再上場を目指していただけに、これで思ったような成長戦略を描けなくなったのは確かだ。一方のサーベラスにしても、西武HDの企業価値を上げることによって、できるだけ高値で保有株式を売却したい思惑も外れてしまう。

両社の利益は西武HD株の再上場を目指す点で合致する。その意味で、両社はさながら同床異夢の関係にある。ただ、明確なのは、再上場問題が地元自治体なども巻き込む議論に発展してきた中で、その落としどころがますます不透明感を増してきたという事実だ。