イオンが大都市部への事業シフトを矢継ぎ早に打ち出し、「流通一強」への足場固めを急いでいる。かつてのライバルで、経営支援に約20%を出資するダイエーを、株式公開買い付け(TOB)で子会社とし、「流通二強」の双璧であるセブン&アイ・ホールディングスを売り上げ規模で一気に引き離す。長期化するデフレとコンビニなどとの業態の垣根を越えた消耗戦で市場縮小が進むスーパー業界で、ダイエーの再建を果たすと同時に、圧倒的なスケールメリットで勝ち残りを目指すのが狙いだ。

イオンは3月27日、ダイエーへのTOBを発表した。同社はバブル経済時代の積極的な多角化から過剰債務を抱え、2004年に政府の産業再生機構による支援を受け入れ、06年に小売事業の強化を狙う丸紅が筆頭株主となった。07年にはイオンも出資し、ダイエーの再生に取り組んできた。今回のTOBについて、丸紅は保有するダイエー株5%を残し約24%で応募する。発表時にTOBの開始時期は4月上旬としていたものの、公正取引委員会の審査との関係で、7月中旬の見通しとなる。

このTOBの狙いは、言うまでもなく規模の拡大。とりわけ首都圏や関西圏の店舗網が手薄なイオンにとっては、両圏でのダイエーの店舗網はメリットがある。実際、同社の連結売上高は12年2月期が8694億円で、同期のイオンのそれと単純合算すると6兆755億円となり、セブン&アイの4兆7863億円に1兆3000億円近い差がつく。

イオンは海外事業強化と並び、国内での大都市シフトを重要戦略に位置付ける。先に、百貨店大手のJ・フロントリテイリングの子会社で首都圏中心に食品スーパーを展開するピーコックストアを買収したばかり。さらにダイエーへのTOBと併せ、イオンは丸紅との協力関係強化でも合意した。両社が出資するマルエツやいなげやなどの食品スーパーとの連合体に子会社化するダイエーを組み入れ、「首都圏でのスーパー連合構想を発展させていく」(岡田元也・イオン社長)意向だ。

半面、収益面で優るセブン&アイを凌駕し、名実とも「一強」となるには、13年2月期で5期連続赤字が見込まれるダイエーの立て直しが必須条件だ。