潰れる会社と増収増益企業の違い

日本企業の苦戦が続いている。象徴的なのは家電メーカーの凋落だ。パナソニック、ソニー、シャープは過去最大の赤字を計上。3社とも創業以来最大のピンチを迎えている。半導体業界も冬の時代。12年2月にはエルピーダメモリが会社更生法を申請。ルネサスエレクトロニクスも、工場の閉鎖・売却、5000人強の人員削減を決めた。

日本企業が不振に陥った原因はさまざまだ。長引く円高は輸出産業を直撃し、雇用や社会保障に対する不安は個人消費に暗い影を落としている。

しかし、こういったマクロ要因が改善されないかぎり、日本企業の復活はないと考えるのは早計だ。じつは同じ市場環境下にいながらも、過去最高益を計上したり、増収増益を続けている企業は少なくない。逆風が吹きつける時代においても、やり方しだいで十分に成長は可能なのだ。

そこでアナリストたちに、いま注目の企業を選んでもらい、それらの会社が快進撃を続ける理由について解説をしてもらった。不利な市場環境でも利益を生み出す戦略やビジネスモデルとは、どのようなものなのだろうか。

ヒマは金なり:「あまりお金をかけずに孤独を癒やしたい」人たち

既存市場の縮小が避けられないなら、消費者のニーズを掘り起こして新しい市場をつくればいい。まるでマリー・アントワネットの「パンがなければケーキを食べればいい」だが、実際にケーキを発掘した企業は業績を伸ばしている。

いま熱いのは、孤独な時間をまぎらわせるニーズだ。レオス・キャピタルワークス取締役・最高投資責任者の藤野英人氏は、現在の消費の動向を次のように分析する。

「いま業績を伸ばしているのは、デフレに耐えうる低価格と、孤独を埋めるためにお金を使う“孤独消費”という2つのスイッチのうちのどちらかを押した会社です。孤独消費は世界的な傾向ですが、日本は特に顕著。たとえば若者を中心にSNSが流行っているのも、誰かとつながることによって孤独が癒やされるからです」