まず目的を明確にしよう

適切なメンターを見つけるためには、まず何を教えてもらいたいのかを明確にする必要がある。米国カリフォルニア州サンタクララにあるアジレント・テクノロジーズの次世代リーダーシップ開発プログラムのディレクター、レスリー・カミノ・マルコウィッツは、まず次のように問うことにしている。「メンターに求めているのは技術面の知識なのか、戦略面の知識なのか。ビジネスのやり方の文化的差異に関する識見なのか。それともアジアについての知識なのか?」。

まずは、目的を4つか5つに絞ってほしい。目的が明確になったら、メンターになってもらいたいと思う人たちにアプローチしよう。引き受けてくれた人には必ず、自分がその人に何を期待しているかを率直に伝える。

『Teach What You Know: A Practical Leader’s Guide to Knowledge Transfer Using Peer Mentoring』(2006)の著者、スティーブ・トラウトマンは、メンターへの期待を明確にすることの重要性を説いている。

「ロスとジュリーは6カ月にわたりメンターと弟子としてやってきたが、ほとんど進歩していない。彼らがメンタリングを始めたのは、上司が『ジュリーのメンターになってやってくれ』と、ロスに言ったからだ。2人とも外出が多く、いつ、どの程度の頻度で話をするか、どちらが会う手はずを整えるかなどをじっくり話し合ったことがない。上司は、ロスがどんなスキルを教えるかはおろか、何について話をすればよいかも明確にしなかった。ジュリーはロスを煩わせたくないと考え、ロスは出しゃばったことをしたくないと思っていた」

個々のメンターに関して、その人から何を学びたいのかをはっきり説明するとともに、どれくらいの頻度で会うかとか、会う手はずはどちらが調えるかといったことを取り決めよう。ある程度緊密な関係になってもかまわないと、クラムはアドバイスする。