広告営業本部の隣にある共有スペースにて。卓球台、ビリヤード台、サッカーゲーム機が並ぶ。この日も小川さん(左)の「ちょっとやるか!」の声でラリーが始まった。

グーグル社内には世界中でも限られたマネジャーにのみ与えられる“Great Manager Award”という賞が存在する。広告営業本部の小川淳営業統括部長は2010年のアワードを日本でただ1人、受賞した人物である。

「そもそも僕はあまりアワードを認識していなくて。メールできた20人くらいのリストに自分の名前が入っていて最初はふ~ん、と思っただけなんですが、翌日周りの反応がえらいことになっていて、テンションが上がりました」(小川部長)

小川が関西弁で早口にそう言うと、部下の陳内裕樹と入社3カ月目の白石智良が次々に突っ込みを入れ始めた。

「いやいや、俺が日本代表です、という感じでしたよ」(陳内)

「そのときは僕、まだ違う会社に勤めていたんですけど、小川は前職の先輩だったので『グローバルだね、俺は』というメールがきました(笑)」(白石)

藤本あゆみは補足を入れた。

「アジアパシフィック地域の中で一緒に受賞したのが、オーストラリアのカントリーマネジャーだったんです」

ほかに受賞した社員の多くが各国の支社長クラスで、部長である小川の受賞は異例だったのだ。

取材に応じてくれた4人の会話のテンポや連携のよさ、そこから生まれる笑いの多さはバラエティ番組の芸人同士のやり取りを見るようであった。

小川率いる広告営業本部は、グーグルの検索連動型広告(アドワーズ)などを扱い、クライアントがビジネスを成功させるための効果的な広告の打ち方などのコンサルティングも行い、利用を促進する部隊である。現在、メンバーは20人である。

その業績は社内でも突出しており、具体的な数字は公表していないが、「3カ月おきに『こんなに上がるの!』というくらい上がる」(藤本)という同社の高い営業目標をこの1年半連続で達成している。