毎日6リットルも牛乳を飲んでいたうつ病患者

功刀部長の勤務地である国立精神・神経医療研究センターには、大規模な総合病院も設置されている。そこで管理栄養士として働く今泉博文・栄養管理室長は、精神疾患の患者さんの栄養相談・栄養指導もたくさん行っている。うつ病の患者が陥りがちな食生活の乱れについてこう語る。

「一番多いのは朝食を抜いているパターンです。私の実感値では精神疾患の患者さんの7~8割は朝に何も食べていない。これが長期間続くと別の生活習慣病になりやすく、そうしたらますます気が滅入ってしまう。それと、孤食が目立ちますね。なんらかの事情で、いつも1人で食べている。みんなで食卓を囲むという食事の本来の意味がないから、もう何でもいいやという気分になり、お菓子と飲み物だけで済ましてしまっている人も多いんです」

この今泉室長の話は、うつ病患者の場合についてなのだが、自分の食生活のありようと重なるところがあって、ハッとさせられる読者諸氏も少なくないのではないだろうか。

「あと、こだわり食べ、こだわり飲みも多い。この食品が健康にいいと聞き、そればかりを食べたり飲んだりしてしまうのですよ。ある患者さんは牛乳が健康にいいということで、飲む量がどんどん増えていった。そのうち牛乳が主食に位置づけられ、1日の消費量6リットル。ずっと液体しか体に入れていないので、固形物を食べると下痢をしてしまう。まじめな人が、何かに救いを求めた結果、食事がヘンなほうに暴走してしまったわけです」

牛乳6リットルとは尋常ではないが、マスコミなどで健康にいいといわれた食品にハマった経験のある人、健康食品を規定量以上に飲んで「安心」している人など、まじめに救いを求めて偏った栄養摂取をしてしまっている人は、いくらでもいるはずだ。

今泉室長は言う。

「忙しいビジネスマンで多いのは、朝食抜き、野菜不足、それから飲酒後のラーメンなど深夜の食事です。栄養指導だけでうつ病が治るわけではありませんが、食生活がおかしくなって、心のほうも不調になる。どっちが卵か鶏かはわからないとしても、密接に関連はしています」