2013年2月14日(木)

「ツイていない自分が変わった」きっかけ分析

PRESIDENT 2011年8月15日号

著者
植木 理恵 うえき・りえ
心理学者、臨床心理士

植木 理恵1975年、大分県生まれ。日本教育心理学会「城戸奨励賞」「優秀論文賞」受賞。2006年より慶應義塾大学で心理学の講義を行うとともに、臨床心理士として都内病院の心療内科に勤務。

心理学者、臨床心理士 植木理恵 構成=石田純子 撮影=高村瑞穂
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勉強のしすぎがチャンスを逃す

植木理恵さん

ツキを呼び込むために今すぐできる、とても簡単な方法を教えましょう。それは「勉強をやめる」こと。勉強に精を出せば知識が増えて仕事力がアップし、会社では出世して収入が増える、家庭も円満で、この上なく幸せ……そう考えるのはとても健全ですし、否定するつもりは毛頭ありません。

しかし試験前の学生ならいざ知らず、ビジネスマンにとってインプットのしすぎは頭を悪くするだけ。本当に大切なのはアウトプットのほうなんです。

頭のいい人と聞くと、図書館に本がずらりと並んでいるように、脳内に知識がみっちりと詰まっている様子を連想しますが、実はそうではなく、せいぜい本棚が5つから7つくらい。逆にいえばそれしか本棚がないから、整理整頓が行き届いて、必要な本を素早く取り出せるのです。

チェスや将棋の名人の思考パターンを調べると、彼らの必勝法も5パターンくらいに集約できてしまうそうです。ところが下手な人は勝ちパターンをいくつも知っているけど、タイミングよく使うことができない。

勝てるかどうか、ビジネスマンでいえば仕事ができるかどうかは、記憶力のよし悪しではなく、実は想起力、思い出す力にかかっているのです。

だから、もしあなたが「こんなに勉強しているのにチャンスが巡ってこない」とジレンマを感じているのなら、1度インプットをやめてアウトプットに着目してみてください。毎日勉強するのをやめて、代わりに月に1度のセミナーに出席する、あるいは時間をかけて1冊の本をじっくりと読み込んでみる。併行してそこで覚えたことを人に話す機会を増やす。そんなやり方でいいと思います。

あとは知識のフォルダを5つくらいにまとめてしまうこと。営業の仕事をしている人ならば、自分のこれまでの仕事を振り返って勝ちパターンを5つに分類し、それを今後の仕事に応用するといったことを心がければいいと思います。

ところで「ツキ」とはいったい何でしょう。それを究明しようと、米国のバスケットボールチームを対象に行われた面白い調査があります。

選手たちの間ではシュートがやたらと決まる状態を「ホットハンド」、何回やっても入らない状態を「クールハンド」と言うのですが、これは自分にツキがきてる・きてないの言い換え語。それで心理学者がホットハンド、クールハンドは本当にあるのかと調べに調べ、統計上そんなものは「ない」という結論を導き出しました。

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