心理学者のロバート・ローゼンタールは実験のために、小学生のクラスで無作為に5人を選び出し、担任の先生に「この子はすばらしい才能を持っている。将来天才になります」とデマを吹き込みました。すると驚くべきことに、1年後にはその5人全員のIQが群を抜いて向上していたのです。

これにはやはり理由がありました。担任の先生が「この子ならできるはず」と他の子供より難しい問題を与えたり、答えを気長に待ったり、結果的に効果的な学習となるような接し方をしていたためだと判明したのです。

誰かに対して期待を寄せると、寄せた人は期待が叶うようなサポートを心がけ、期待された側もそれに応えようと行動します。結果として「願えば叶う」が実現されるのです。この「願えば叶う」ことをギリシャ神話に重ねて「ピグマリオン効果」と呼びますが、ピグマリオン効果は自分でも演出することができます。

簡単な方法としてはメールソフトの中に「ハッピーフォルダ」をつくることでしょう。日本人は面と向かって褒めるのは苦手ですが、メールでは褒め上手ですよね。そこで誰かに褒められたメールや感謝の言葉が並んだメールだけを集めて1つのフォルダにまとめ、折に触れて眺めるのです。そこには客観的な自分の長所が書かれていますから、イタい勘違いではなく、正しい方向に自信を深めることができます。これは私も実践していて、見ながらついニヤニヤしてしまう。他人の言葉は力がありますから、ピグマリオン効果を高めるにはもってこいですね。

イケイケの時代が過ぎ、今のような停滞した時代にあって、誰もが「変わりたい」と思うのはよくわかります。前述したように、性格を変えるのは難しいけれど、性格や行動パターンを「増やす」のは難しいことではありません。価値観を増やす。ハッピーになれる方法を増やす。それがツキをつかんで自分が変わるターニングポイントになるのではないでしょうか。

ツイてる人が実行している4カ条

1.情報のインプットをやめる
2.サクセス・ルーティンをつくる
3.“価値観”のパターンを増やす
4.ハッピーフォルダをつくる

心理学者、臨床心理士 植木理恵
お茶の水女子大学卒、東京大学大学院教育心理学科修了。日本教育心理学会で最難関の「城戸奨励賞」「優秀論文賞」を最年少で連続受賞。『本当にわかる心理学』ほか著書多数。
(構成=石田純子 撮影=高村瑞穂)
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