自分に力が100あっても、他者から70にしか見られなければ、70の評価にしかならない。しかし、能力が100あるのなら、100あるように見せたいもの。本来の実力をアピールできる報・連・相の秘訣とは何か。

ズレないタイミングとは

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「マイルストーン」報告術/「ビジュアル」活用法

ここからはコミュニケーションをさらにパワーアップさせる「時間、ビジュアル、数字」のコツを紹介する。

報・連・相にもタイミングはある。

例えばプロジェクトの進捗状況については何度か上司に報告する必要があるが、こちらが適切と思ったタイミングでも、上司にしてみれば遅すぎるかもしれない。そんなタイミングのズレだけで、報告もできないヤツと見られてしまう。

そこで、プロジェクトの開始から終了までの流れの中で、いくつかのマイルストーン(節目)を設定し、あらかじめ何をいつ報告するのか決めて、上司に伝えておくのだ。

その了解を取っておけば、「いつになったら報告に来るんだ」と上司をイライラさせることもなくなる。

さらに、「イン・アウト」を明確にしておきたい。報告の対象とするもの(イン)、対象としないもの(アウト)をはっきり線引きしておくのだ。

例えば、東南アジアでの事業展開について4月末に報告すると、あらかじめ上司に伝えてあったとしよう。ところが、

「おい、インドネシアはどうなってる」

「えっ、最初からインドネシアは入っていませんが……」

「聞いてないよ、東南アジアならインドネシアが入って当然だろう」

こんな行き違いが発生しないためにも、インとアウトを明確にしておくことが重要だ。

また、タイミングという意味では、上司の機嫌が悪そうなときや忙しそうなとき、外出直前のバタバタしているときは、事前に約束してあった報告日だとしても、「後ほど報告に上がります」などと伝えるにとどめて、出直すとよい。

ミネソタ大学の調査によれば、視覚に訴える説明は、視覚を利用しない説明に比べて説得力が43%もアップしたという。さらに、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感のうち、人は、実に83%の情報を視覚から得ているという。

つまり、人は、細かい数字を口頭で伝えてもピンとこない。同様に、数字のみの表もビジュアル化されていないため、印象が薄い。ところが、グラフで表示すれば一目瞭然、がぜんインパクトが出るというわけだ。

視覚化の応用編として、同じグラフで表すにしても、単位や目盛り幅を調整するだけで、こちらの都合のいいように見せることもできる。

競合他社との売り上げ比較のグラフでは、両社の差があまりない場合、縦軸の目盛りを細かい刻み(100万円刻みでなく、10万円刻みなど)にしたり、一目盛りの幅を広げたりすると、両社の差が顕著になる。一種の錯覚だ。

また、逆に、損失額などの報告はあえてグラフにせず、わかりにくい表形式で数字を羅列するのもテクニックだ。