成功体験が変化を拒むようになる

入社時には、自他ともに認めるホープとして華々しくスタートダッシュをしたものの、やがて鳴かず飛ばず。颯爽としていた人が落ちこぼれになってしまうケースは、ビジネスの世界では、珍しいことではありません。

私が大学を卒業して入社したのはシェル石油(現・昭和シェル石油)です。1960年代を目前にした当時、石油業界は成長産業で、同期の約30人には東大、一橋大や早慶卒の秀才が揃いました。それが3年ぐらいで1人辞め、もう1、2年の間に、また誰かの姿が見えなくなっていきました。

彼らは理論構成もしっかりしていて、弁も立ちます。当然、自信に溢れていました。しかし、その自信が過信や慢心になると問題です。親しい友人ができず、必要以上に敵をつくってしまいます。さらに慢心が増幅すると、傲慢になり、残念ながら周囲からの諫言も耳に入りません。学ぶことも忘れ、謙虚さを失い、人間関係をこじらせて、檜舞台から消えていきます。

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「ダメな人」の7つの特徴

さらに、人は何かをして一度成功すると、その成功体験にしがみついて変化を拒むようになります。しかし、現代は世の中がガタガタと音を立てて動く“大変な時代”といわれます。消費者の嗜好も変わり、技術も進化していきます。そのような中で、「俺はこのやり方でいいんだ。成功したんだ。いまさら何も変える必要はない」と変化を拒否して現状に甘んじていると、そのうち時の流れに取り残されてしまいます。

私はよく講演で「あなたがいまのままでいたら、3年以内に使い物にならなくなりますよ」と話します。自分が変化し成長を続けないと、市場価値が摩耗して、長いビジネス人生を完走するのはむずかしいでしょう。

では、いかにすれば敗者にならずに過ごすことができるのか。私は、自分を磨き、成長するためには、「学ぶ習慣」を身につけることだと考えています。そして、学びに必要な要素は大きく分けて3つあります。第1に座学、第2に師、第3に修羅場です。