「サプリメントは健康によい」を疑う

結局、紅麹サプリの事件の原因はなんなのか? 畝山さんは「そもそも、医薬品成分を含む紅麹のサプリメントとしての摂取、ということ自体に問題があった。それに加えて、プベルル酸が検出された、ということは別のかび等の混入も起きていたおそれがある、ということではないか」と推論します。

「生産工程管理、GMPをきちんと実行していれば、このような事件は防げた、という主張がありますが、それは難しいと思います。もともと組成が完全にわかっているわけではなく変動も大きい食品を完全に制御できるのでしょうか。

自然ではさまざまな毒性物質ができており、食品も思いがけない毒性物質も含み得る。したがって、私たちは日々、さまざまな食品を食べる、というやり方で有害物質の摂取量を抑えコントロールしています。特定の食品をサプリメント化し、毎日同じものを大量摂取するのが健康によい、という考え方自体を見直すべきです」

厚生労働省が異例の大英断を下した理由

厚生労働省は3月26日、小林製薬の紅麹を含む5製品(紅麹コレステヘルプ3品目と、ナットウキナーゼさらさら粒GOLD、ナイシヘルプ+コレステロール)について、食品衛生法第6条第2項に該当するとして、廃棄命令等の措置を講じるよう、大阪市に通知しました。

第6条第2項は「有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの」について禁ずる内容で、めったなことではこれによる廃棄命令は出ません。これにより、都道府県の保健所等も積極的に動けるようになりました。

それまでは、小林製薬が自主回収していたのですが、それでは対応が弱い、と厚労省が判断したようです。さらに、厚労省は3月29日、紅麹サプリを摂取していたが無症状、という人が医療機関を受診した場合に、保険診療とできるように各都道府県等に事務連絡を出しました。

通常、無症状であれば自由診療となります。「症状がなくても摂取していれば……」というのは、異例の大英断です。これにより、自覚症状までは出ていないけれど……という摂取者を、把握しやすくなりました。

厚生労働省が、この問題を通常の食中毒問題とは捉えず、日々、相当量を摂取するサプリメントや機能性表示食品特有の課題がある、とみなしている、と多くの医薬関係者が受け止めています。