不登校への理解が進むきっかけに

その後も、天皇陛下(現上皇陛下)がご退位の意向表明をされた2016年、奈良や京都にご両親と旅行されたのちにご欠席が多くなったこともあった。

この間、学校側も雅子さまが宿泊を伴う位学校行事に同行されたりすることを認めるなど、最大限の配慮をされた。

このことが報道された際は厳しい批判もあったが、不登校について個々の生徒に合わせた丁寧な対応をすべきだという考え方が社会的に理解されるきっかけになった。学業は外国語を含む文科系の科目に秀でられていたとされている。

進学については、東京大学だとか上智大学とかいう憶測もあった中、学習院大学文学部を選ばれた。それは、敬愛されるお父上が格別に愛着をお持ちだということもあったようだ。

そして、実り豊かな学園生活を送られるはずが、新型コロナ禍のために、最初の1年間は秋のオリエンテーションに参加されただけで、リモート講義しか受けられなかった。

学習院旧正門
学習院旧正門(写真=wiiii/GFDL/Wikimedia Commons

陛下が登校を促し、背中を押される

2年目は、都内の各大学では対面講義が原則であるがリモートでも単位取得は可能となったが(どういう場合にリモート講義を選択できるかは大学ごとに違った)、愛子さまは、3年目の最後の何回かを除いてリモート講義のみを選ばれた。

これについて天皇陛下は、2022年のお誕生日の記者会見で、次のように語られた。

「愛子は、一昨年大学生になりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、授業にはオンラインでの出席が続いています。2年生になり、演習の授業での発表があったり、課題の提出などで忙しい毎日ですが、大学での勉学に一生懸命に取り組んでいます。

私自身の大学生活を振り返ってみますと、気が付けばもう40年くらいも前になりますが、大学では様々な人たちと顔を合わせて授業を受けたり、放課後の部活動で一緒に参加したり、見ず知らずの人と学生食堂で隣り合ったり、新しい発見と経験の連続であったように思います。そういう意味でも、愛子には、感染症が落ち着いて、いつの日かキャンパスに足を運べるようになると良いなとは思いますが、たとえどのような環境にあっても、実り多い学生生活を送ることができればと願っています」