いかに少ない資本と時間で「最大のお客様の喜び」をつくれるか

また、商品の販売価格(売値)設定をするときは、「この商品の仕入れ値はいくらだから、これくらい上乗せしてこの売値にしよう」という発想ではなく、「この商品を買ったお客様は、これくらい喜んでくれるはずだから、この売値にしよう」と考えていくことも重要です。

付加価値ベースの価格設定、これを考えることが有効なのです。原価はさておき、「この商品が持つ価値を、いくらでお客様は買いたいというだろうか?」という発想です。

最大の付加価値を生むためには、いかに少ない資本と時間で「最大のお客様の喜び」「最大限お客様に役立つこと」をつくれるかが鍵となります。それが結果として「最大の利益」となります。

そして、その利益の分配方法を先に決めておけば、会社に残るお金と、社員に給与として出せるお金の額が順番に、自動的に決まっていきます。最大の付加価値を生み出せば、最大の利益と最大の給与を自動的に生み出せるのです。

この流れ、構造をつくれたら、お客様は付加価値を得てwin、会社も利益を得てwin、そして社員も高給与を得られてwin、という「win‒win‒winの状態」が成立するのです。

「社員の価値」を最大化すれば、経営者の予想を超えた成果が生まれる

ここまでの説明で、「最小の資本と人で、最大の付加価値を上げる」という考え方における、「最小の資本」で、という部分については理解できたと思います。

では、もう一つの要素「人」についてはどのように考えればいいのでしょうか。

「付加価値を生み出すために投入している時間」を今よりも短くすれば、1人1時間あたりの付加価値生産量が高まり、会社としてはその付加価値に対して高給与を払う余裕が生まれる。

これが、なぜ「最小の人で、最大の付加価値を上げる」ことで、給与が上がるのか? という問いに対する回答です。社員のみなさんが給与を上げたければ、常にこのことを頭において仕事ができるのです。

では、経営者は「最小の人で、最大の付加価値を上げる」という課題に対して、どのような姿勢で取り組めばいいのでしょうか。

答えはシンプルです。それは、「社員が生み出す価値」「社員自身の価値」の最大化を第一に考えるのです。

すべての社員が「1人1時間あたりの付加価値創造額」を最大化してくれれば、会社の利益も社員の給与も上がります。したがって経営者は常に、「どうすれば社員の価値最大化ができるか」を考え続けていくことに集中できるのです。

ここで重要なのが、一人でも多くの社員が「経営者が期待する以上の価値(成果)を出してくれる状態」になることです。

多様なビジネスパーソンの肖像
写真=iStock.com/west
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