立場や性別は違えど、同世代の強みがあった

同世代というのはかなりのアドバンテージ。見てきたテレビ、聞いてきた音楽、読んできたマンガ、経験してきた流行は同じです。ただ、女性と男性という違いがあります。この時、ドラマ脚本ではなくパーソナリティー番組を書く、しかも女性の番組を男が書く、という方法を学びました。

そこから世間は80年代アイドルの黄金時代になります。当時はラジオとアイドルの蜜月期。注目のアイドルは、デビューとほぼ同時に自分のラジオ番組を持ちます。そこには、同じく若手のディレクターと作家がつきます。私は、デビュー直後の松田聖子さんを始めとして、レギュラーとしては、松本伊代さん、富田靖子さん、柏原芳恵さん、原田知世さん、川島なお美さん、松本典子さん、井森美幸さん(アイドルだったのです)、河合その子さん、斉藤由貴さん……などといった方々の番組を担当しました。

なぜか女性が多いのは、伊藤蘭さんでやり方がわかっていたからでしょうか。何年も続いた番組もあれば、半年で終わる番組もあります。特番やゲストを含めると、もっとたくさんのアイドルと仕事をしています。私だけではありません。その頃の若手放送作家はみんなアイドル番組を担当しています。

原稿用紙の上の鉛筆と消しゴム、横に積み上げられた本
写真=iStock.com/years
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とにかく「一人で喋る」ことが大変

アイドルたちは、最初もちろんトークはうまくありません。当然です。たいていは高校生か卒業したばかりの年齢。普通は学校で、同世代としか喋っていません。

ところがデビューしてラジオ番組を持つと、聞いているのは同世代のファンだけとは限りません。ファン以外の人がなんとなく聞いている場合もある。そのアイドルのことをよく知らない大人が、たまたま聞いている場合もあります。そういう見えない相手に向かって喋るのです。

番組にはいろいろな企画がありますが、一人でのトークもあります。デビューしたてのアイドルは常に新人。喋り方はわかりません。当時「炎上」という言葉はありませんが、今だとSNSにおいて、ちょっとした言い方のニュアンスで反感を買う、あるいはサービス精神で言ったつもりが逆に世間からバッシングを受ける、という危険性にも似ています。言葉につまっても、テレビなら笑顔でなんとかなりますが、ラジオだとそうはいきません。そんなの怖くて当たり前。高校生だった自分ができるかと考えてみれば、まず無理です。

どうしてもトークに苦手意識がある人の場合は、相手役としてアナウンサーが入るケースもあります。仲のいいアイドルと二人でというケースも。相手がいればなんとかなる。一人で喋るのが大変なのです。そこを手助けするのが、ディレクターや放送作家。