フジテレビが急上昇のカラクリ

1101万円のソニーグループ、915万円の日立製作所、895万円のトヨタ自動車も着実に平均年収がアップした。従業員が多いだけに増額の幅は驚くほどではないが、日本を代表する企業が従業員の年収増を実現したことは注目すべきだろう。

定期コンテナ船の事業統合などで業績が回復している海運大手3社は、年収が大幅に伸びた。平均年収のアップ額は、商船三井444.6万円、川崎汽船338.5万円、日本郵船240.2万円である。

上位陣ではフジ・メディアHDの大幅アップが目立つ。前年比700万円以上の増額で、久しぶりにランク上位に顔を出した。同業で1000万円台常連のテレビ東京HD、TBSHD、日本テレビHDを一気に抜き去った。フジ・メディアHDは3期連続で1000万円台を割り込んでいた(「775.6万円→801.2万円→866.6万円」)。

フジテレビ本社ビル
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ただし、これは平均年収算出の対象社員が大幅に入れ替わったことが、大幅増の最大の要因である。平均勤続年数が、前年の7.1年から10年以上も伸びて17.9年になったのだ。年収が高いメンバー構成になったことで1500万円台に乗ったといっていいだろう。事実、決算書で開示している人件費総額は横ばいである。

前年と比較可能な480社中ダウンは124社だ。ひろぎんHDやコンコルディアFG、じもとHDの地方銀行、ゲーム関連のスクウェア・エニックスHDとバンダイナムコ、LINEヤフー(旧ZHD)などである。大手不動産の三菱地所と三井不動産も微減だった。

有価証券報告書で開示される従業員平均年収額と業績には時期的ズレが生じる。大手を中心に実施された23年のベースアップは、これから開示される24年3月期などの有価証券報告書に示されることになり、次回のランキングに反映されるだろう。