理屈よりも熱意が重要

彼女は困ってしまい、私のところへ、「この質問にどう答えれば良いですか?」という相談の電話をかけてきました。私はそれを聞いて、たった1つだけ、こう答えました。

「それぞれの質問に答えても、きっと来てくれないと思います。そうじゃなくて、『とにかく来てください! 絶対に良いので!』って答えてみてください」

つまり、彼女の熱意をストレートに伝えるということです。彼女はその通り行動しました。すると、どうなったと思いますか? なんと、セミナー当日に200人も集まったのです!

彼女の本気の思いが伝わったのです。質問を繰り返していた人は、実は彼女の本気度を見ていたのです。人がお金を払って行動するというのは、実は理屈ではないのです。

私は、エンゼル投資家の方々や、ファンドで出資先を決める担当の方とお話をすることがあります。彼らは、起業して間もない会社に出資します。その会社やビジネスは、まだ歴史がないため当然実績がほとんどありません。そういう時に彼らは何で出資を判断するのか?

というと、やはり経営者の本気度だそうです。

もちろん事業の内容も大事です。ただそれ以上に、人を見て出資を決めるのだそうです。極端な場合だと、事業内容に興味がない人もいます。

起業家に投げかけた「たったひとつの質問」

例えば、かなり以前の話ですが、ある方が、有名な経営者に事業企画のプレゼンをしました。

相手に説明をするビジネスマンのイメージ
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです

しかし、いざプレゼンが始まると、なんとその社長が寝始めたというのです。彼は戸惑いながらも、最後までプレゼンをやり遂げました。その社長が起きたのは、プレゼンが終わったあとでした。そして、ただ1つだけ質問をしました。

「うまくいく自信はあるのか」

彼は、「自信あります」と言い切りました。すると社長はうなずいて、「じゃあそれでやってくれ」とあっさりと承認したのです。もし、その方が、どれだけいいプレゼンをしたとしても、最後の質問におどおどと答えていたら、社長はその事業は却下していたでしょう。

経営者としての長い経験の中で、その人の自信と覚悟を見るのが最も的確に判断できる方法だと考えていたのでしょう。思いや本気度については、自分がお客の立場から考えるとわかると思います。例えば、営業の担当者が新人でミスはあるけれど一生懸命やってくれるか、あるいはベテランだけれど素っ気ないか、仕事のクオリティに大きな差がない時はどちらを選ぶでしょうか? 多くの人は前者を選びます。

少しぐらいミスがあっても、一生懸命やってくれる人に好感を持つからです。