終わりのない価値提供の仕組みへとつながる

加えて、もう一つ重要なことがあります。

「ニーズの裏のニーズ」を深掘りすることによって、今回の商品提供だけで解決しきれない(終わりがない)という仕組みを構築できるのです。

例えば、キーエンスのセンサーによって製造工程の効率が上がり、生産性が向上したとしましょう。

すると、導入後にも「もっと生産性を上げたい」という話が出てくるはずです。

キーエンスの商品提供プロセスでは、さらに次の商品を提供し続けることを目指し、「生産性を上げるため」「財務を改善するため」「CSRを上げるため」「コストを改善するため」「リスクを改善するため」つまり、「付加価値」を向上させていくためのニーズを探し続けているという方向性性があるように見えました。

「ニーズの裏のニーズ」を追い続ける

この考え方で言えば、新商品を企画する際にも、価値の方向性の見極め方が非常に明確なのです。

田尻望『いつでも、どこでも、何度でも卓越した成果をあげる 再現性の塊』(かんき出版)
田尻望『いつでも、どこでも、何度でも卓越した成果をあげる 再現性の塊』(かんき出版)

新商品の企画時には、BtoBであれば、先ほど示した6つのポイント、そしてBtoCの場合には、生活者のよりよい生活が追うべき方向になります。

そして、アップセル、クロスセル、中長期の契約だけでなく、「新商品の種」となる「ニーズの裏のニーズ」を追い続けます。

「○○をやってほしい」という単なるニーズ、すなわち機能的・特長的なニーズには終わりがあります。一方で、BtoBの6つの価値の方向性、BtoCの生活者のよりよい生活には終わりがありません。

つまり、終わりのない価値提供の仕組みへとつながっていくのです。

この方向性が、マーケットイン型での「潜在ニーズ」が見つかる起点になります。

キーエンスという会社は、BtoBの世界で、それを常に追い続けているように感じます。

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