生成AIのプラットフォーム化

オープンAIにとってこのGPTストアは、生成AIのプラットフォーム化の本命ともいえるものです。

近年のIT業界では、独自のプラットフォームを展開することで大きな利益を上げてきました。たとえばアップルは、アップストアでアイフォーンやアイパッドのアプリを配布・販売し、またアイチューンズ・ストアで音楽や動画といったデジタルコンテンツを販売。さらにアップルブックスでは電子書籍の販売を行っています。アイオーエス(iOS)をプラットフォーム基盤として、アプリからデジタルコンテンツまでこれらのプラットフォームで配布・販売を展開しているのです。

アマゾンでも、書籍や物販を中心に、さらにビデオや音楽、電子書籍といったデジタルコンテンツを販売するプラットフォーム化に成功しています。

アップルストア
写真=iStock.com/Nikada
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これから「AI界を牛耳る」企業の条件

オープンAIは、チャットGPTをプラットフォーム基盤として有料版チャットGPTプラス、画像生成AIのダリ(DALL-E)、それにチャットGPTを利用するAPI、プラグイン、さらにGPTストアの展開によって、いわば生成AIのプラットフォーム作りを行おうとしているといっていいでしょう。

GPTストアではユーザーが作成した独自のGPTの配布・販売が行われるため、ユーザーがGPTを作ることで利益を上げることもできます。さらにこれらのGPTを利用する一般ユーザーは、当然ながらチャットGPTをこれまで以上に利用することになります。これがチャットGPTのプラットフォーム化です。

これまでのビッグテックは、プラットフォームを展開することで利益を上げ、巨大になってきましたが、生成AIの分野ではオープンAIがそのプラットフォーム作りの先陣に立とうとしているのです。

生成AIの発展が、ビジネス界や仕事を大きく変革するものであると予測される現在、AIのプラットフォーム作りに成功する企業こそが、AI界を牛耳ることになるものと予想されます。